2009年09月27日(日)
海外ミステリ小説『ペニーフット・ホテル受難の日』を読んだよ。

『ペニーフット・ホテル受難の日』
"ROOM WITH A CLUE"
著:ケイト・キングズバリー
訳:務台夏子
発行:創元推理文庫
19世紀のイギリスを舞台に、ホテルを経営しているセシリー・シンクレアが主人公の、コージー・ミステリ・シリーズ第1弾。
エドワード王朝期のイギリス ― 未亡人のセシリー・シンクレアは、夫の遺志を継いで、バジャーズ・エンドという村で「ペニーフット・ホテル」を営んでいる。宿泊客の多くは、優雅で瀟洒なこのホテルで非日常の休息を楽しみたい人々。あるとき、宿泊客のエレノア・ダンベリーが転落死した。社交界の花だが、その身辺にはトラブルの噂も多かったエレノア。支配人のバクスターがとめるのをよそに、セシリーは自ら調査に乗りだすが……。
私はあんまり「主従萌え」ってしないんだけど、セシリーとバクスターの関係には、ちょっと、ころっといった感じ。
「女主人」とか「紳士淑女」とか「レディらしさ」とか「コルセット」とか、現代では、ともすると差別語に発展しそうな言葉や習慣が、あたりまえのようにまかり通っていた19世紀が舞台。
そんな時代に生きるセシリーは、客商売をしているだけあって常識的な女ではあるけれど、一方で、かなり発展的でもある。女性の社会進出を説いたり、コルセットの弊害に言及したり。
勝ち気で行動力のあるセシリーを見守る支配人のバクスターは、「亡きご主人さまのために」を枕詞に、セシリーを「マダム」と呼んで、なんやかや心配して干渉するけれど、ここには「亡きご主人さまの気持ち」を通り越した複雑さがある。
でも、バクスターの口うるささの源がなんなのか、セシリーは気づいていない。少なくとも、シリーズ第1弾の今作では、まだ。
そのくせ、セシリーは、普段は「バクスター」と呼んでいるくせに、精神的に追いつめられたときや、ふと気持ちがゆるんだときなどに、彼をつい「バックス」と愛称で呼ぶ。……ああ、こういうの、たまらない。私は「呼び名フェチ」なのだ。でもって、バクスターの苗字も明らかになっていない。いや、もしかして、「バクスター」が苗字で、書かれていないのはファースト・ネームなのかも! ……いいじゃん、いいじゃん。恋愛関係を描くのに、「呼び名」の妙って、ものすごく大事。そして、萌え。
パソコンも、携帯電話も、DNA鑑定もない時代の殺人劇。その点がもの足りなくて、現代作家の書く時代ミステリには、普段、あまり入りこめないんだけど、セシリーとバクスターの「主従以上?」を感じさせる危なっかしいやりとりが、ほほ笑ましいわ刺激的だわで、とても第一印象が美味しい新シリーズだった。既に邦訳されている第2弾『バジャーズ・エンドの奇妙な死体』も、楽しみに読もうと購入済み。
科学的な操作や証拠を事件解決に使えない時代ミステリでは、人間関係の複雑さと時間トリックが鍵になってくる。コージーというくくりのせいか、トリックは「あってないようなもの」だったのが残念で、殺人事件が起こるに至った人間関係も、予想がたやすい安直な部分が目立ったのが惜しかった。
でも、セシリーとバクスターの関係を追いたい一心で、読み続けたくなるシリーズ。「18世紀のイギリス」、「優雅なホテル」、「慇懃無礼な社交風景」と、味わい深い趣は揃っているので、シリーズが進むにつれて、「本格ミステリ」の様相を呈してくれればよいなぁ、と期待はふくらむ。
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌
2009年09月23日(水)
海外ミステリ小説『料理人は夜歩く/朝食のおいしいB&B〔2〕』を読んだよ。

『料理人は夜歩く/朝食のおいしいB&B〔2〕』
"Dead and Berried"
著:カレン・マキナニー(Karen MacInerney)
訳:上條ひろみ
発行:ランダムハウス講談社
のどかなクランベリー島でB&B(朝食付きホテル)「グレイ・ホエール・イン」を営むナタリー・バーンズの、コージー・ミステリ・シリーズ第2弾。
グレイ・ホエール・インの屋根裏から、夜な夜な不気味な音が響いてくる。ナタリーがクランベリー島の歴史を調べてみると、大昔、この建物で料理人が殺されていたことがわかった。一方、かつての恋人・ベンジャミンが訪ねてきたり、親友のシャーリーンと仲違いをしたりと、トラブル続きのナタリー。そんな折、インの手伝いをしてもらっているポリーの死体が、湿地で発見されて……。
「いくらコージーっていっても、現代が舞台なのに、主人公が携帯電話やパソコンを持っていないのは、どうも違和感がある」と思いつつ読んだのだが、前作『注文の多い宿泊客/朝食のおいしいB&B〔1〕』の感想文でも、私は同じようなことを書いていた……。
クランベリー島の開発問題がストーリィに関わってきて、主人公のナタリーが殺人事件の容疑者のひとりにさせられる、という導入が、前作と同じ。小さな島に開発問題は必須で、登場人物が少ないから容疑者も限られる、とはわかっていても、まだ2作目なのだから、前作とは異なるアプローチをしてほしかった。
無理なく快適に読むことができて、次作が邦訳されたら手にとるつもりはあるが、ナタリーを始め、レギュラー・キャラクターの個性が、まださほど立ってきていないように感じる。読了した翌日には、今作を読んだことさえ忘れてしまいそうな薄味感が残念。
コージーなので、こみいったトリックや大胆な起承転結は求めていないけれど、キャラクターの性格設定や人物描写に、シリーズならではの性格的な灰汁や、次作へ引っ張る人間関係的な宿題があってほしい。このままだと、「美味しそうな料理レシピだけが魅力」のシリーズになってしまいそうで不安。
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌
2009年09月19日(土)
〔キューバ映画祭2009〕の前夜祭が、9/25に渋谷で開催!
〔キューバ映画祭2009前夜祭・キューバ体感パーティ〕
日時:2009年9月25日(金) 19:00開場 19:30開始(22:00終了予定)
場所:渋谷Q-AXビル1階 レストラン"Prologue" (地図はこちら)
料金:ご予約3,000円 当日3,500円
(キューバ料理ビュッフェ・1ドリンク付き)
※ご予約は「お名前・人数・連絡先を明記の上」、cuba@action-inc.co.jp 左記メールまで。
ご予約の〆切は、9/24(木)19:00です。
キューバ映画祭での上映作の予告編、キューバ音楽ライブ(ソン、チャチャチャ、ルンバ)などなど、観るもよし、踊るもよし! って感じのイベントです。
「ハバナへ行かなきゃ! ビンゴゲーム大会」もありますよ〜。
ビンゴの景品は、ハバナ旧市街のレストラン〔ボデギータ・デル・メディオ〕のお食事券、映画のロケ地を訪ねるハバナ市内観光スペシャル・バージョン券(予定)、DVD、書籍などなど、「キューバへ行く気、満々!!」になるお笑いプレゼント♪
また、西麻布の〔COHIBA ATMOSPHERE〕の葉巻も販売されます★
パーティのMCは、この映画祭の主催兼〔Action inc.〕の代表兼トーキョーワッショイのラテン・コラム・ライターでもある、vagabundaさんです!!
映画ファンはもちろん、キューバを体感したいみなさま、しゃべって、吞んで、踊って、楽しみましょう!
お誘いあわせの上、ぜひぜひご来場くださいね。香ん乃も、もちろん、行く予定ですっ。
2009年09月19日(土)
トーキョーワッショイで〔キューバ映画祭2009・前夜祭〕の記事を書きました。
2009年09月16日(水)
2010年・相葉弘樹さんカレンダー2種。
2009年09月16日(水)
映画『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版/天下分け目の戦』を観たよ。
『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版/天下分け目の戦』
2009年・日本・20分
監督:中澤祥次郎
アクション監督:石垣広文
エグゼクティブ・プロデューサー:杉山登
製作:鈴木武幸 高橋浩 他
原作:八手三郎
脚本:小林靖子
撮影:松村文雄
編集:佐藤連
音楽:高木洋
出演:松坂桃李 相葉弘樹 鈴木勝吾 高梨臨 森田涼花
相馬圭祐 伊吹吾郎 唐橋充 合田雅吏 他
声の出演:大和田伸也 西凛太朗 朴路美 他
ナレーション:宮田浩徳
外道衆との戦いで、満身創痍のシンケンジャーたち。300年前に初代シンケンレッド(合田雅吏)が封印したはずの脂目マンプク(声:大和田伸也)が蘇ったのだ。当時の秘伝ディスクを手に入れるため、流ノ介(相葉弘樹)とことは(森田涼花)、千明(鈴木勝吾)の三人が、突飛な作戦で外道衆の気を惹いているあいだに、丈瑠(松坂桃李)と茉子(高梨臨)はディスクの在り処に忍びこむが……。
3D版を観たかったのだけど、キャストの舞台挨拶のある回は2D版での上映だったので、2Dで観た。
テレビ・シリーズ同様のノリで、とても楽しく観られはしたけれど、なんせ……、20分。劇場版なら、せめて、せめて……、最低でも45分くらいの長さで作ってほしかった。次の劇場版に期待(あるのかな)。
エンド・クレジットに、キャスト・ファンには嬉しい趣向が凝らされているので、そこを観ると、「あぁ、劇場版なんだなぁ」と、軽くお祭り気分に浸れる。
長年の相葉くんファンとしては、「新宿バルト9の大スクリーンで、相葉くんの出演している映画を観られる日が来るなんて、嬉しすぎる……っ!」と感無量。
舞台挨拶には、松坂桃李くん、相葉弘樹くん、鈴木勝吾くん、高梨臨さん、森田涼花さん、相馬圭祐くんの6名が登壇。
仲のよさが雰囲気に出ている6名。相葉くんと相馬くんがムード・メーカーで、臨ちゃんがみんなをとりなして、すうちゃんが場をほっこりとさせる、という構図は、劇中のシンケンジャーたちを髣髴とさせる。
マスコミ向けのフォト・セッションが、決めポーズと変ポーズ入り乱れで、めちゃめちゃ格好よい&おもしろかった! 変ポーズの写真も、どこかにあがっているといいなぁ。
観た日:2009年9月13日(日)@新宿バルト9
お気が向かれたら →
侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦@映画生活

テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画 - ジャンル : 映画
2009年09月16日(水)
パトリック・スウェイジ、逝く。
パトリックというと、『ゴースト/ニューヨークの幻』や『ハートブルー』が有名ですが、
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幼い頃からプロのダンサーを目指していて、ブロードウェイの舞台に立ったこともある彼が、得意のダンスを披露してくれた『ダーティ・ダンシング』や『ダンシング・ハバナ』などが、特に印象に残っています。
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パトリックのダンス映画で、私が最も好きなのは、奥様のリサ・ニエミと共演した『ダンス with me!』。原題は"ONE LAST DANCE"。監督はリサで、パトリックも製作に参加しています。
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ニューヨークを舞台に、年齢的に限界を迎えつつあるダンサーたちが、再度、ダンスに魂をぶつける物語。解散の危機にあるカンパニーを救おうと、オリジナル・メンバーたちが、伝説の演目を上演するべく集結します。
ステージで輝いていた若かりし頃の栄光には、もう、すがれない。また、年齢を重ねたからこそ、昔のわだかまりを捨てきれなくて、かつて愛した人とも向きあうことができない。
ダンス映画としてのみならず、ある程度の歳を迎えたおとなたちの人間ドラマとしても、見ごたえと味わい、充分な作品です。考えさせられること、胸に響くこと、しきりでした。
でも、『ダンス with me!』は、日本劇場未公開作品でした。映画館で観たかったです。
そして、パトリックのダンスも、演技も、もっともっと、観たかった。
ご冥福をお祈り致します。
2009年09月16日(水)
映画『劇場版 仮面ライダーディケイド/オールライダー対大ショッカー』を観たよ。
『劇場版 仮面ライダーディケイド/オールライダー対大ショッカー』
2009年・日本・65分
監督:金田治
アクション監督:宮崎剛
特撮監督:沸田洋
エグゼクティブ・プロデューサー:杉山登
製作:鈴木武幸 高橋浩 他
原作:石ノ森章太郎
脚本:米村正二
撮影:いのくままさお
編集:須永弘志
音楽:鳴瀬シュウヘイ 中川幸太郎
出演:井上正大 村井良大 森カンナ GACKT 戸谷公人 荒井萌 他
仮面ライダーディケイドの士(井上正大)、クウガのユウスケ(村井良大)、夏海(森カンナ)の三人は、謎の洋館にたどりつく。そこには、士の妹・小夜(荒井萌)がいた。遂に、士は元の世界へ戻ってきたということになる。しかし、この世界にも滅びの現象が起き始めていて……。
平成仮面ライダーが今年で10周年ということで、この映画では、平成ライダーはもちろん、昭和ライダーも集合して、大バトルを繰り広げる。
同時上映の『侍戦隊シンケンジャー 銀幕版/天下分け目の戦』を目当てに観に行った。シンケンジャーは毎週観ているけれど、ディケイドは観ていない。もっと言ってしまえば、ライダーに関する知識が皆無。
なので、……わけがわからなくて。
士たちがなぜこの世界を旅しているのかからして、まったくぴんとこないので、「予習くらいしてくればよかったなぁ」と後悔。
なにか重い宿命を背負っているらしき士と、その仲間たち(敵対する運命にもあるらしいが)を襲う出来事が、心理的にやたらとシビアで、「子供向けじゃないんだな、これは」という印象だった。なかなかに救いようがない。テレビ・シリーズをじっくりと追っていたら、結構はまっていたかもしれないな。
新旧のライダーたちが入り乱れてのバトルは、どれがどのライダーなんだか区別がつかない私ですら興奮してしまった。そもそものモデルが昆虫のバッタだったなんて忘れちゃうくらい格好よい。
舞台でしか観たことがなかった村井良大くんを、初めて映像でしっかりと観た。彼の眼力、映像でも際立っていて、惚れ惚れしちゃうなぁ。
観た日:2009年9月13日(日)@新宿バルト9
お気が向かれたら →
劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー@映画生活

テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画 - ジャンル : 映画
2009年09月10日(木)
はからずも、現時点での2009年ベスト&ワースト・ムービーが入ってる。
『川の底からこんにちは』
『ノーボーイズ,ノークライ』
『ちゃんと伝える』
『正義の行方/I.C.E.特別捜査官』
『私の中のあなた』
『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』
『キラー・ヴァージンロード』
『アドレナリン:ハイ・ボルテージ』
『ココ・アヴァン・シャネル』
『侍戦隊シンケンジャー/銀幕版』
『正義の行方/I.C.E.特別捜査官』は、今年観た外国映画の中で、今のところ、私的ベスト・ワン。
今年観た映画(洋邦あわせて)の中で、今のところ、私的最下位の作品も、上記に含まれているのだが、どれなのかは、一応、言わない。感想文を書いたら、ばれるだろうけど。
2009年09月07日(月)
トーキョーワッショイで〔ヤクルトホール〕の記事を書きました。
2009年09月01日(火)
『授業の開始に爆弾予告』を読んだよ。

『授業の開始に爆弾予告』
"BACK TO SCHOOL MURDER"
著:レスリー・メイヤー(Leslie Meier)
訳:高田惠子
発行:創元推理文庫
歴史あふれる町・ティンカーズコーヴに暮らす主婦ルーシー・ストーンの、ドメスティック・ミステリ・シリーズ第4弾。
秋になって、子供たちの新学期が始まった。「自分のためにも時間とお金を使いたい」と考えたルーシー・ストーンは、地元の新聞社でアルバイトをする傍ら、大学の夜間講座を受講することに決める。新聞社に出勤したある朝、「小学校に爆弾がしかけられた」という報が入った。その小学校には、ルーシーの次女・セアラもかよっている。娘の身を案じてルーシーが小学校に駆けつけると、生徒たちは校庭に避難していたが、障害者の少年がひとり、校内に取り残されていた。副校長のキャロル・クレインが体を張って少年を助け、彼女は一躍、英雄扱いされるようになったが、後日、キャロルは自宅で誰かに殺されて……。
シリーズを追うごとに、内容が深刻になって、現実味を帯びていく。2作目の『トウシューズはピンクだけ』のテーマはドメスティック・ヴァイオレンスで、前作の『ハロウィーンに完璧なカボチャ』では高齢者問題が扱われていた。
今作『授業の開始に爆弾予告』のメイン・テーマは、したたかな女に隠された痛々しい過去の秘密と、家事と育児に忙殺されている主人公ルーシーの生々しい現状。表紙の明るいイラストから連想できるような、「気楽に読めるコージー」という内容ではない。リアリティにあふれたドメスティック・ミステリである。だからこそ、私はこのシリーズが好きなのだが。
「夫と4人の子供たちは心から大切だが、少しは自分のためにも生きたい」と、40歳になったルーシーは考える。末っ子のゾーイを託児所に預けて新聞社で働きながら、「仕事を楽しい」と感じて、「ゾーイに申し訳ない」とルーシーは自身を恥じる。
とても嬉しいことがあったときに夫のビルに報告したら、ろくな反応がないどころか、「塩入れがからになっているから、塩を補充してくれ」と頼まれる。ビルに悪気がないと百も承知でも、ルーシーは虚しさでいっぱいになる。彼女はいつしか、夫とは違う男に惹かれていく。
「幸せなのはわかっているけれど、自分の居場所がない」と感じて、いろいろなことを試せば試すほど、家族への罪悪感を募らせて、安らぎの欠如を思い知っていくルーシー。やりがいと思いやりを求めて、不器用な言動を重ねる彼女を見ていると、状況や国は違うのに、まるで自分のことのようにせつなくて苦しくなってくる。
謎解きの要素は、オーソドックスで予想がつきやすいが、キー・パーソンの心の闇に焦点をあてている点にリアリティがあって、個人的には好感が持てた。ただ、やや尻すぼまりの感がある。
今作から、「新聞社の記者」という肩書きをルーシーが使えるようになったため、彼女が殺人事件の調査に奔走しても違和感がない。「ミステリを作りやすい、便利な設定にしたもんだなぁ」と感心した。
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌
2009年09月01日(火)
『何か文句があるかしら』を読んだよ。

『何か文句があるかしら』
"SPEAK NOW"
著:マーガレット・デュマス(Margaret Dumas)
訳:島村浩子
発行:創元推理文庫
サンフランシスコに住む富豪のチャーリー&ジャック・フェアファックス夫妻の、ライト・ミステリ・シリーズ第1弾。
劇団の運営を勉強するために滞在していたロンドンで、チャーリー・ヴァン・リーウェンは、気象学者のジャック・フェアファックスと電撃的に結婚した。新婚の夫を連れてサンフランシスコに帰ってきたチャーリーを、友人や仕事仲間たちは興味津々の状態で迎える。まだ新居が決まっていないチャーリーとジャックは、しばらくホテルで暮らすことになるが、部屋のバスタブで見知らぬ女の死体を発見した。一方、チャーリーが運営している劇団の演出家が行方不明になって……。
チャーリーとジャックは、呆れるほどお金持ちの富豪夫婦。ただ、資産家なのは奥さまのチャーリーのほう。彼女がなぜこんなにお金持ちなのかが、いまいち、はっきりしないのだが、彼女の財力は「小国の財政をまかなえるほど」らしい。
働く必要なんかないチャーリーだが、趣味と生きがいのために小劇団を運営している。この劇団に関わるキャラクターたちも、お金に不思議と余裕がありそうな生活を送っていて、チャーリーと金銭感覚が合っている。冷静に考えれば、小劇団のスタッフが裕福というのは現実味がない設定だが、そこに文句をつけるのは、軽いフィクションを読む上でナンセンスなのかもしれない。
ハリウッド・セレブ顔負けのゴージャスな生活を送るチャーリー。食事は高級レストラン、サックス・フィフス・アヴェニューやニーマン・マーカスでブランド品を日常的に買い、多方面に顔が利く桁外れにリッチな叔父がいる。
日々の生活費を捻出するのにあっぷあっぷしている庶民の目で読んでいると、むかつくことしきりなのだが、物語の中盤くらいになると、チャーリーのぶっとんだ金遣いの荒さにも慣れてくる。
チャーリーの夫のジャックが、秘密と謎だらけの胡散臭い人物として描かれている。つまり、ただの気象学者ではないのだが、彼の存在が、「なんちゃってスパイ小説」の雰囲気を醸しだしている。素性は怪しくても、チャーリーを愛する気持ちは確かで、物腰もスマートなら、容姿も完璧という、嘘っぽいことこの上ないけれど、女が主人公のミステリにはありがちな「完全無欠の紳士」という設定。
殺人事件が起こって、行方不明者が出て、チャーリーにはボディ・ガードまで手配されて、状況は深刻であるはずなのだが、全体的にのんきで退廃的なムードが漂っている。「セレブな生活、ときどき事件」といった様相。
設定は現代だが、「上流階級がスパイ合戦に巻きこまれる、1950年代のアメリカ映画」や、初期の『007』シリーズなどを、つい連想してしまう。血なまぐさい事件は確かに起こっているのだが、お洒落さとゴージャスな部分のほうが目立っているのだ。
謎解きの要素は浅い、とことんライトなミステリ。キャラクターたち(特にジャック)の秘密が完全には明らかにならなくて、「続きは次作で」といった手法になっている。推理小説としての深みはないが、「セレブリティの日常をのぞき見」する気分で、まあまあ楽しく読めた。登場人物たちの個性も立っているから、次作の邦訳が素直に待ち遠しい。
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌
2009年08月29日(土)
トーキョーワッショイで「等身大ガンダム」の記事を書きました。
今回の記事は下記です。
→〔GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト〕―8月末まで、お台場にいてくれます。←
よろしければ、ご覧ください。
※でも、今回は映画記事とはいえない……。
2009年08月28日(金)
萌、え、あ、が、れ……っ!!
2009年08月27日(木)
映画『サブウェイ123/激突』を観たよ。
『サブウェイ123/激突』
"THE TAKING OF PELHAM 1 2 3"
2009年・アメリカ・105分
監督・製作:トニー・スコット
製作:トッド・ブラック スティーヴ・ティッシュ 他
製作総指揮:バリー・ウォルドマン ライアン・カヴァノー 他
原作:ジョン・ゴーディ
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
撮影:トビアス・シュリッスラー
編集:クリス・レベンゾン
音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
出演:デンゼル・ワシントン ジョン・トラヴォルタ ジョン・タートゥーロ
ジェームズ・ガンドルフィーニ ルイス・ガスマン マイケル・リスポリ 他
ニューヨークの地下鉄運行指令室に勤務しているガーバー(デンゼル・ワシントン)は、同僚に「マエストロ」と呼ばれるほど、地下鉄運行のエキスパート。その日の勤務も終了目前になっていたとき、ペラム駅1時23分発の列車がハイジャックされた。切り離した1輌目の車輌に人質と共に立てこもった犯人たちは、ニューヨーク市長(ジェームズ・ガンドルフィーニ)に1時間で1000万ドルを用意させるよう要求する。ハイジャック犯のリーダー(ジョン・トラヴォルタ)は、一介の職員でしかないガーバーを交渉役に指名してきて……。
オリジナルは、ジョセフ・サージェント監督がウォルター・マッソーを主演に撮った『サブウェイ・パニック』。それをリドリー・スコットが現代を舞台にリメイク。オリジナルの主人公・ガーバーは警部補だったが、リメイクの今作では、ガーバーは一地下鉄職員という設定だ。
めまぐるしいカメラ・ワークと、緊迫感のある展開で、最後まで飽きさせない。温厚で人徳が篤そうに見えるガーバーに隠された秘密の真相や、ハイジャック犯のリーダーの真意が、ラストまで明らかにならない部分があるが、それは脚本の不備ではなくて、「観た人それぞれに解釈を委ねる」という手法なのだろう。ストレスは感じない。
「運行が遅れてあたりまえ」で有名なニューヨークのサブウェイ。その指令室が、まるで政府機関の一部であるかのようなセットで作られていて、実際はどうなのか知らないけれど、「本当に、こんなにしっかりと管理しているのかしら」と皮肉に感じたり、女っけが皆無のキャスティングに、「時代に喧嘩売ってるみたい」と違和感を覚えたり、事件解決後の地下鉄の復旧が早すぎて失笑したりと、つっこみたくなる点はいくつもあったけれど、スピード感重視のサスペンスとしては、充分に手に汗握ることができる。
ハイジャック犯を演じたジョン・トラヴォルタの、狂気をはらんだ演技は感嘆もの。ジョン・タートゥーロが、イタリア系の明晰な捜査官を演じているのだが、スーツ姿にダンディズムが薫っていて、この俳優を初めてヴィジュアル的に「格好いいなぁ」と感じた。
ひとつ残念だったのは、拳銃の扱い。
ネタバレになるから詳しくは書かないけれど、「銃は万能。銃の扱いかたさえ心得ていれば安全」と解釈させたがっているように映る点が、ぽつぽつとあった。最終的に、拳銃はキー・アイテムにもなる。
サスペンスやアクションの映画を観ていて、銃の使用に目くじらを立てていたら始まらないのは百も承知だが、銃の力を尊ぶような演出は、個人的にはとても悲しい。
試写日:2009年8月25日(火)@ヤクルトホール
お気が向かれたら →
サブウェイ123 激突@映画生活
![サブウェイ・パニック [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51MWABsAHjL._SL160_.jpg)
2009年08月26日(水)
『カオスの商人』を読んだよ。

『カオスの商人』
"The Merchant of Menace"
著:ジル・チャーチル(Jill Churchill)
訳:新谷寿美香
発行:創元推理文庫
シングル・マザーの専業主婦ジェーン・ジェフリィが素人探偵を務める、ドメスティック・ミステリ・シリーズの第10弾。
クリスマスを目前に控えて、ジェーン・ジェフリィは大忙し。このシーズン特有のパーティがたて続けにひらかれるのだが、幹事をかけ持つことになってしまったのだ。一方、恋人のメル・ヴァンダイン刑事の母親が、ジェーンに会いに来るという。ヒステリーを起こしそうな状況の中、自宅で催したパーティに、地元テレビ局の取材が入った。その取材を担当したニュース・レポーターのランス・キングは、嫌われ者の代名詞のような存在。パーティの当日、彼はジェフリィ家の隣で死体になって発見され……。
長年、このシリーズの訳を務めてこられた浅羽莢子さんが早世なさったことは、前作『飛ぶのがフライ』の感想文でも触れた。今作『カオスの商人』から、訳者は新谷寿美香さんに替わっている。
『飛ぶのがフライ』が、旅先を舞台にした番外編的内容で、トリックの浅さも気になったから、次作を読むのが少々不安だったのだけれど、『カオスの商人』の舞台は、ジェーンのホーム・グラウンドである「自宅」に戻っていたから、ひとまず安心。
恋人のヴァンダイン刑事、親友のシェリイ・ノワック、ジェーンの子供たち、亡父の姑・セルマといった、ひと癖あるレギュラー・キャラクターたちも元気いっぱいで、ヴァンダイン刑事の母親が想像通りの面倒な人物と、シリーズ・ファンとしては、ジェーンの周囲が厄介にまみれていて、嬉しい限り。
日常生活の些事にてんてこまいになりながら、ジェーンが「偶然に味方をされて」殺人事件を解決へ導いていって、七面倒だった人間関係もいつのまにか円く納まっているという、このシリーズではおなじみのパターンは、今作でも健在。
物語としての深みや、重厚な読み応えには欠けるけれど、「ときどき会う知人たちの近況を知る」ような気分で読めるから、シリーズ・ファンには嬉しい内容。
クリスマス・シーズンという設定なので、アメリカの一般的な家庭が、どのようなクリスマスを過ごすのか、このシーズンにどういった「ご近所や友人とのトラブル」が発生しやすいのかを、軽くお勉強できるのも楽しい。
たとえば、「手作りのクッキーを交換しなくてはならないパーティが何件も続く。自分が焼くクッキーのレシピに、近所の主婦や姑が好奇心を募らせてくる」だなんて、想像しただけでも神経症になりそう、……でしょ?
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌











