2007年02月13日(火)
『雨よりせつなく』を観たよ。
絶対に敵わないんだよね。……「死者」には、さ。
『雨よりせつなく』
2004年・日本・87分
監督:当摩寿史
製作:安田匡裕 川城和実 他
プロデューサー:加藤悦弘 村上比呂夫 他
原作:吉元由美
脚本:飯田健三郎 森下佳子
助監督:猪腰弘之
撮影:藤澤順一
編集:高橋幸一
音楽:佐藤史朗
出演:田波涼子 西島秀俊
黒坂真美 深浦加奈子 他
綾美(田波涼子)と彰夫(西島秀俊)は、同じ広告代理店に勤務している。ふたりとも独身。綾美は30歳を目前にした年齢で、彰夫は30歳を少し過ぎた年齢だ。休日のフリー・マーケットで互いの姿を見かけたり、残業中にたまたま共にカップ麺をすすったり、同じ企画の仕事に関わったりといった機会を重ねるうちに、自然と惹かれ合っていくふたり。しかし、彰夫には哀しい過去があった。恋人だった女性を、彼自身が運転していた車の事故で亡くしたのである。
ものすごく淡々としている映画。いや、淡々というよりは、「とろい」。時間の流れが、いらつくほどゆったりしすぎているのだ。台詞そのものの数も、ひとつの台詞の中に含まれる言葉の数も少ないので、「とろくないか、この映画?」という印象は、より強まる。とはいえ、私はなぜか、その遅さに慣れた。観始めてから30分くらい経ったら(「ずいぶん経ってからじゃん」とは、我ながら思うが)、この作品のとろさ加減に心地よさすら覚えていた。
物語は至極普通。ありがち。なんてことない。30歳前後の独身の社会人なら、誰もが必ず一度や二度や三度はぶつかる感情・状況・現象がテーマになっている。「身近な友人が結婚する」、「周囲から『結婚は? 将来は? どうしたいの?』と訊かれまくる」、「仕事と恋愛の両立に悩む」、「独りでいることが当然になっていて、ディープな恋愛に踏み切る勇気が出せない」、などなど。本当、30歳前後の独身者には、転がりまくりすぎているような話だ。しかし、だからこそ、リアリティがある。「うんうん」とうなずいたり、「その判断はちょっと違うよ!」と異を唱えたくなったり、「そこでもうひと押ししたほうがいいんじゃないの?」とお節介を言いたくなったりする。呼吸がすこぶる近い物語。この過程を通る人がたくさんいるに決まっている物語。
表参道の風景や東京タワーを、リアルに、でも、わざとらしくなく映しているロケが、東京好きとしては嬉しい。かすかに生々しいさりげなさが素敵。また、主人公の綾美と彰夫が務める会社の建物が、レトロでとても風情がある。大昔の学校のような、かつての同潤会アパートのような、「昭和」の薫りがしてくる建物。ロケ地がどこだったのかを調べはしなかったのだけれど、しみじみと味わい深い建物だった。とはいえ、「ここに勤めたい!」とは、私は思えなかったが。だって、改めて工事でもしない限り、シャワー付トイレがなさそうなのだもの。もしかしたら、トイレが男女で分かれてすらいないかもしれない。とにかく、それくらい時代を感じさせる建造物だった。
主演の田波涼子さんは、もともとモデルのかたで、今作が映画初出演とのこと。台詞の言いかた等に少し違和感を覚えてしまった部分が、正直、あったのだけれど、儚げでセンシティヴな雰囲気が美しい人。特に、横顔がたおやか。
前述した通り、時間の流れかたがとてもゆっくりの映画なので、ストレスを感じる人も多いだろうし、87分とは信じがたいような長い退屈を覚える人もいるだろうと思う。だから、他者へ薦めることはできないのだけれど、現実的な題材といい、タイトルにたがわない「せつなさ」が表出された質感といい、私の好みには結構沁みいってくれた作品だった。
「製作の川城和実さんって、最近、どこかでお名前を見たような気がするんだけど……」と思ってプロフィールを調べたら、『スキトモ』の製作をなさったかただった。嬉しいものですよ、やっぱり、ええ。
観た日:2007年2月11日(日)@自宅にてDVD
↓参考↓
雨よりせつなく@映画生活
「雨よりせつなく」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
↓観た作品&関連商品↓

『雨よりせつなく』
2004年・日本・87分
監督:当摩寿史
製作:安田匡裕 川城和実 他
プロデューサー:加藤悦弘 村上比呂夫 他
原作:吉元由美
脚本:飯田健三郎 森下佳子
助監督:猪腰弘之
撮影:藤澤順一
編集:高橋幸一
音楽:佐藤史朗
出演:田波涼子 西島秀俊
黒坂真美 深浦加奈子 他
綾美(田波涼子)と彰夫(西島秀俊)は、同じ広告代理店に勤務している。ふたりとも独身。綾美は30歳を目前にした年齢で、彰夫は30歳を少し過ぎた年齢だ。休日のフリー・マーケットで互いの姿を見かけたり、残業中にたまたま共にカップ麺をすすったり、同じ企画の仕事に関わったりといった機会を重ねるうちに、自然と惹かれ合っていくふたり。しかし、彰夫には哀しい過去があった。恋人だった女性を、彼自身が運転していた車の事故で亡くしたのである。
ものすごく淡々としている映画。いや、淡々というよりは、「とろい」。時間の流れが、いらつくほどゆったりしすぎているのだ。台詞そのものの数も、ひとつの台詞の中に含まれる言葉の数も少ないので、「とろくないか、この映画?」という印象は、より強まる。とはいえ、私はなぜか、その遅さに慣れた。観始めてから30分くらい経ったら(「ずいぶん経ってからじゃん」とは、我ながら思うが)、この作品のとろさ加減に心地よさすら覚えていた。
物語は至極普通。ありがち。なんてことない。30歳前後の独身の社会人なら、誰もが必ず一度や二度や三度はぶつかる感情・状況・現象がテーマになっている。「身近な友人が結婚する」、「周囲から『結婚は? 将来は? どうしたいの?』と訊かれまくる」、「仕事と恋愛の両立に悩む」、「独りでいることが当然になっていて、ディープな恋愛に踏み切る勇気が出せない」、などなど。本当、30歳前後の独身者には、転がりまくりすぎているような話だ。しかし、だからこそ、リアリティがある。「うんうん」とうなずいたり、「その判断はちょっと違うよ!」と異を唱えたくなったり、「そこでもうひと押ししたほうがいいんじゃないの?」とお節介を言いたくなったりする。呼吸がすこぶる近い物語。この過程を通る人がたくさんいるに決まっている物語。
表参道の風景や東京タワーを、リアルに、でも、わざとらしくなく映しているロケが、東京好きとしては嬉しい。かすかに生々しいさりげなさが素敵。また、主人公の綾美と彰夫が務める会社の建物が、レトロでとても風情がある。大昔の学校のような、かつての同潤会アパートのような、「昭和」の薫りがしてくる建物。ロケ地がどこだったのかを調べはしなかったのだけれど、しみじみと味わい深い建物だった。とはいえ、「ここに勤めたい!」とは、私は思えなかったが。だって、改めて工事でもしない限り、シャワー付トイレがなさそうなのだもの。もしかしたら、トイレが男女で分かれてすらいないかもしれない。とにかく、それくらい時代を感じさせる建造物だった。
主演の田波涼子さんは、もともとモデルのかたで、今作が映画初出演とのこと。台詞の言いかた等に少し違和感を覚えてしまった部分が、正直、あったのだけれど、儚げでセンシティヴな雰囲気が美しい人。特に、横顔がたおやか。
前述した通り、時間の流れかたがとてもゆっくりの映画なので、ストレスを感じる人も多いだろうし、87分とは信じがたいような長い退屈を覚える人もいるだろうと思う。だから、他者へ薦めることはできないのだけれど、現実的な題材といい、タイトルにたがわない「せつなさ」が表出された質感といい、私の好みには結構沁みいってくれた作品だった。
「製作の川城和実さんって、最近、どこかでお名前を見たような気がするんだけど……」と思ってプロフィールを調べたら、『スキトモ』の製作をなさったかただった。嬉しいものですよ、やっぱり、ええ。
観た日:2007年2月11日(日)@自宅にてDVD
↓参考↓
雨よりせつなく@映画生活
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