ごはんの支度をしながら、気の合う映画を想うのが好き。字書き屋・香ん乃がお贈りする、インフォメーション・シネマ感想文・雑記など。
2007/02/03 18:35 『ステップ!ステップ!ステップ!』を観たよ。
セミ・ファイナル、ファイナル、エンディングと、泣きっぱなし。
『ステップ!ステップ!ステップ!』
原題:"MAD HOT BALLROOM"
2005年・アメリカ・106分
監督・製作:マリリン・アグレロ
製作・脚本:エイミー・スウェル
撮影:クラウディア・ラシュケ=ロビンソン
編集:サビン・クラエンビュエル
音楽:スティーヴン・ルトヴァク ジョセフ・ベイカー
ニューヨークにある60校以上の公立小学校で、社交ダンスのプログラムが教育の一環として取り入れられている。履修の最後にはニューヨーク市をあげてのコンテストが開催されるため、児童たちは優勝を目的に奮闘する。決勝出場を目指す数校をピックアップして、ダンス授業のレッスン風景や、児童・教師へのインタビューを綴ったドキュメンタリー。
私は子供が苦手だ。実際に接するのはもちろん、映画や書籍で客観的に触れるのすら苦手だ。だから、子供を題材にしたドキュメンタリーなんて、本来なら絶対に避けて通るのだけれど、今作には「ダンス」と「ニューヨーク」という、私の好きな要素がふたつも含まれていたため、おっかなびっくりではあったのだが、レンタルしてきてしまった。まあ、すごくすごく面白かったから、結果オーライなのだけれど。
アメリカの映画や小説に触れていると、「踊らない?」と男女が誘い合うシーンが普通にあったり、プロム・パーティで子供たちが軽やかに踊っていたりするものだから、「あの国に住んでいる人は、みんな踊れるんだろうなぁ」というような誤解を漠然といだいていた。しかし、考えてみればあたりまえのことなのだけれど、ただアメリカで育っているだけでダンスが身につくわけではない。親に習ったり、お金を払ってスクールに通いでもしない限りは。……本当、考えてみれば、至極当然だよな。
裕福な層が多く暮らす印象のあるニューヨーク。特にマンハッタンなどは、家賃も物件も物価もすこぶる高いようだ。しかし、ニューヨークにだって、環境や金銭に恵まれない家庭はある。貧困層が集まって住む地域もある。この映画に登場するのは、公立小学校に学ぶ子供たち。親が片方しかいない子、複数の世帯で共同生活をしている子、英語をまだ堪能に話せない子、犯罪や不良の世界と背中合わせで生きている子。毎日の暮らしに、大なり小なり不安を抱かざるを得ない子が多数だ。ダンスを習ったり楽しんだりするような余裕のない家庭にある子も多そうだった。
この作品で最も印象深かったのは、インタビューを受けた子供たちの発言である。男の子のほうが単純に無邪気で、女の子のほうが大人びてませているのは、古今東西同じこと。しかし、国が違っても同じではなかった発言も、当然あった。「ドラッグの売人とは交際したくない」と言った子がいた。「酔っ払いが私の体を見る目つきが変」といったようなことを口にした11歳の少女もいた。特に、ドラッグの売人に関する発言は多かった。そういった存在が、まるで日常のごとく身近にいても不思議ではないという証拠なのだろう。幼いニューヨーカーたちの声は、粋でお洒落で華やかなこの街のイメージとは異質な事実を教えてくれたけれど、これもまた、世界的大都市・ニューヨークが呈する真の姿のひとつなのだ。
とはいえ、本作は雰囲気も展開もとことん明るい。子供たちや教師の声と、ダンサブルな音楽にあふれていて、すこぶる賑やかだ。メレンゲ、フォックス・トロット、タンゴといった数種のダンスを、子供たちが少しずつ習得して上達していく様子を見ているのも、純粋に楽しい。コンテストの準決勝から決勝へと続く過程では、スポ根物語にも似た熱い感動と興奮を味わえて、高揚しながら涙してしまった。
ダンサーになりたいと願うひとりの少女が、マンハッタンの対岸から摩天楼を指差して、こう言った。「あそこで夢が叶うの」と。きっと、ブロードウェイのことを指しているのだろう。すっかり使い古された感のある「アメリカン・ドリーム」という言葉が持つ本来のピュアさを、久々に聞いたような気がした。
観た日:2007年2月3日(土)@自宅にてDVD
↓参考↓
ステップ!ステップ!ステップ!@映画生活
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↓観た作品↓
お気が向かれたら →

『ステップ!ステップ!ステップ!』
原題:"MAD HOT BALLROOM"
2005年・アメリカ・106分
監督・製作:マリリン・アグレロ
製作・脚本:エイミー・スウェル
撮影:クラウディア・ラシュケ=ロビンソン
編集:サビン・クラエンビュエル
音楽:スティーヴン・ルトヴァク ジョセフ・ベイカー
ニューヨークにある60校以上の公立小学校で、社交ダンスのプログラムが教育の一環として取り入れられている。履修の最後にはニューヨーク市をあげてのコンテストが開催されるため、児童たちは優勝を目的に奮闘する。決勝出場を目指す数校をピックアップして、ダンス授業のレッスン風景や、児童・教師へのインタビューを綴ったドキュメンタリー。
私は子供が苦手だ。実際に接するのはもちろん、映画や書籍で客観的に触れるのすら苦手だ。だから、子供を題材にしたドキュメンタリーなんて、本来なら絶対に避けて通るのだけれど、今作には「ダンス」と「ニューヨーク」という、私の好きな要素がふたつも含まれていたため、おっかなびっくりではあったのだが、レンタルしてきてしまった。まあ、すごくすごく面白かったから、結果オーライなのだけれど。
アメリカの映画や小説に触れていると、「踊らない?」と男女が誘い合うシーンが普通にあったり、プロム・パーティで子供たちが軽やかに踊っていたりするものだから、「あの国に住んでいる人は、みんな踊れるんだろうなぁ」というような誤解を漠然といだいていた。しかし、考えてみればあたりまえのことなのだけれど、ただアメリカで育っているだけでダンスが身につくわけではない。親に習ったり、お金を払ってスクールに通いでもしない限りは。……本当、考えてみれば、至極当然だよな。
裕福な層が多く暮らす印象のあるニューヨーク。特にマンハッタンなどは、家賃も物件も物価もすこぶる高いようだ。しかし、ニューヨークにだって、環境や金銭に恵まれない家庭はある。貧困層が集まって住む地域もある。この映画に登場するのは、公立小学校に学ぶ子供たち。親が片方しかいない子、複数の世帯で共同生活をしている子、英語をまだ堪能に話せない子、犯罪や不良の世界と背中合わせで生きている子。毎日の暮らしに、大なり小なり不安を抱かざるを得ない子が多数だ。ダンスを習ったり楽しんだりするような余裕のない家庭にある子も多そうだった。
この作品で最も印象深かったのは、インタビューを受けた子供たちの発言である。男の子のほうが単純に無邪気で、女の子のほうが大人びてませているのは、古今東西同じこと。しかし、国が違っても同じではなかった発言も、当然あった。「ドラッグの売人とは交際したくない」と言った子がいた。「酔っ払いが私の体を見る目つきが変」といったようなことを口にした11歳の少女もいた。特に、ドラッグの売人に関する発言は多かった。そういった存在が、まるで日常のごとく身近にいても不思議ではないという証拠なのだろう。幼いニューヨーカーたちの声は、粋でお洒落で華やかなこの街のイメージとは異質な事実を教えてくれたけれど、これもまた、世界的大都市・ニューヨークが呈する真の姿のひとつなのだ。
とはいえ、本作は雰囲気も展開もとことん明るい。子供たちや教師の声と、ダンサブルな音楽にあふれていて、すこぶる賑やかだ。メレンゲ、フォックス・トロット、タンゴといった数種のダンスを、子供たちが少しずつ習得して上達していく様子を見ているのも、純粋に楽しい。コンテストの準決勝から決勝へと続く過程では、スポ根物語にも似た熱い感動と興奮を味わえて、高揚しながら涙してしまった。
ダンサーになりたいと願うひとりの少女が、マンハッタンの対岸から摩天楼を指差して、こう言った。「あそこで夢が叶うの」と。きっと、ブロードウェイのことを指しているのだろう。すっかり使い古された感のある「アメリカン・ドリーム」という言葉が持つ本来のピュアさを、久々に聞いたような気がした。
観た日:2007年2月3日(土)@自宅にてDVD
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ステップ!ステップ!ステップ!@映画生活
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