『幸せのポートレート』を観たよ。
『幸せのポートレート』
原題:"THE FAMILY STONE"
参考:幸せのポートレート@映画生活 幸せのポートレート-シネマトゥデイ
2005年・アメリカ・103分
監督・脚本:トーマス・ベズーチャ
製作:マイケル・ロンドン
製作総指揮:ジェニファー・オグデン
撮影:ジョナサン・ブラウン
編集:ジェフリー・フォード
音楽:マイケル・ジアッキノ
出演:サラ・ジェシカ・パーカー ダーモット・マローニー
ダイアン・キートン クレア・デインズ
レイチェル・マクアダムズ ルーク・ウィルソン
タイロン・ジョルダーノ ブライアン・ホワイト 他
ストーン家にとって、今年のクリスマスは例年と大きく違った。なぜなら、自慢の長男・エヴェレット(ダーモット・マローニー)が、結婚を前提につきあっている恋人・メレディス(サラ・ジェシカ・パーカー)を連れてくるからである。メレディスは、ニューヨークのマンハッタンでばりばり働くキャリア・ウーマンだということだ。ストーン家は大家族。朗らかなママのシビル(ダイアン・キートン)を筆頭に、鼻っ柱が強い娘のエイミー(レイチェル・マクアダムズ)に、自由気ままに生きる息子のベン(ルーク・ウィルソン)、耳が不自由でゲイの息子・サッド(タイロン・ジョルダーノ)など、個性的でオープンな面々だ。プライヴァシーを尊重する上に頭の堅いメレディスは、ストーン家の開放的でにぎやかな雰囲気に、どうしてもなじむことができない。この家に滞在することに難しさを感じてきた彼女は、急遽、妹のジュリー(クレア・デインズ)を呼び寄せるが……。
かつて、『SEX and the CITY』という海外ドラマに思いっきりはまっていた私。今でも大好きだけど。そのドラマの中でも、サラ・ジェシカ・パーカーが演じた主人公・キャリーに最も入れ込んだ。流れで、サラ・ジェシカ本人のことも結構好きになった(シャープな容姿とは対照的な愛くるしい声をしている、というアン・バランスなキュートさが特に好き)。彼女が演じたコラムニストのキャリーは、ニューヨークはマンハッタンで「お洒落な生活の見本」を体現しているような、格好よくも可愛い女。で、『幸せのポートレート』では、サラ・ジェシカが「ニューヨークでばりばり働くキャリア・ウーマン」を演じているらしいと耳にしたので、それ以上の予備知識もなく観に行った。「職業は違うにしても、キャリーみたいじゃん。観てみようかな」っていう程度の興味で。
私は勝手に誤解していたのだ。「サラ・ジェシカ演じるキャリア・ウーマンが、マンハッタンを舞台に繰り広げる『恋の駆け引き』系恋愛映画」だと思い込んで観に行ったはずが、まったく違ったのだから。「郊外に住むストーン家という大家族のあるクリスマスを描いたファミリー映画」だったのだ。そして、私、家族物の映画は実のところあまり好きではない。特に、家族愛にあふれた仲のよい家族を描いた映画は。
で、この作品、「この世で最も大切なものは家族。家族至上主義」という、私が嫌悪するたぐいの映画だった。ああ、失敗。わざわざロードショーを観に行くほどの映画じゃなかった。まあ、つまらなくはなかったけれど。
わがままで個人主義で都会的なメレディスは、「なにごともオープンに話し合うストーン家」の面々とその雰囲気に、とても戸惑う。メレディスとストーン家、どちらが悪いというわけではないのだ。それぞれの育ってきた環境や考えかたが違うだけの話。……頑張れば頑張るほどからまわりして孤立して、ストーン家にどうしても仲間入りできない・させてもらえないメレディスの様子を観ていて、不覚にも泣いてしまった。かつて数年間、「嫁」という立場をやっていたときの自分が、相手の実家を訪れるたびに、メレディスと同じような動揺と葛藤と混乱の中にいたよなぁ、と思い出したら、さまざまな感慨や記憶で胸がつぶれそうになってしまって。前述した「どちらが悪いというわけではない」という事実は、当時の自分だってしっかりわかっていた。ただ、メレディスだってそうだったろうと思うのだが、頭では理解できていても、行動や判断に反映できないことが、いくらだってあるわけだ。……私はもちろん、メレディスのように高尚な仕事をしているわけでも綺麗なわけでもないのだが、かつての自分を彼女と重ね合わせて、苦しくて痛くて重くて、最後にはもう、なんだか頭がパンクしそうだった。今はまた独身に戻って、楽しく自由な毎日を送っているのだから、なにも思い悩んだり気を遣ったりする必要もないというのにね。
まあ……、そんなこんなで、感傷や思い出に邪魔されて、なかなか冷静な目で観られなかったこの映画なのだけども、テンポのよい脚本には好感が持てた。はっきり言って「ご都合主義」のストーリィ展開なのだが(「いくら『運命の出逢い』だろうがなんだろうが、そんな相手をよく信用できるな、あんたたちは」と呆気に取られずにはいられなかった事項がちらほらあった)、退屈や違和感を覚えることなくラストを迎えられたのは、小気味と歯切れのよいテンポのおかげだ。キー・パーソンを演じたのがダイアン・キートンやルーク・ウィルソンという「安心して観ていられるに決まっている役者」だったことも大きいのだろう。
クリスマスという特別でロマンティックな時期に(この映画が日本で公開されたのは真夏だったが……)、ハート・ウォーミングなファミリー・ドラマ映画を観たい、と思ったら、まあまあお勧めできるかも、という感じの手ごたえ。役者さんは上手な人ばかりなので、不安定さはないと思うよ。
観た日:2006年8月21日(月)@シャンテ・シネ
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