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2006年08月17日(木)

『全身と小指』を観たよ。

 ふうん。だから、「小指」なんだ。

『全身と小指』
参考:全身と小指@映画生活 全身と小指-シネマトゥデイ
2005年・日本・109分
監督・脚本:堀江慶
製作総指揮:渡邉秀樹
プロデューサー:中林千賀子
脚本・出演:赤堀雅秋
撮影:柳田裕男
音楽:塚崎陽平
出演:池内博之 福田明子 片岡礼子
   恵俊影 山口美也子 街田しおん 他

 故郷を離れて東京で暮らす純(池内博之)は、デリバリー・ヘルスのオーナーをしている。あるとき、得意客でもあるカウンセラーの武田(恵俊影)に、純は秘密をぽつりと漏らした。「実の妹である久美(福田明子)とセックスしたことがある」と。だが、純と久美の肉体関係は、好奇心が原因のものでも一度きりのものでもなかった。ふたりは心から愛し合っていたのである。

 綺麗な風景映像、ときおり閃く象徴的な台詞、生々しさと官能性のバランスが取れたセックス描写、画的に壮絶なクライマックス、久美を演じた福田明子さんの瑞々しくも稚い美しさ ― そういった効果的で巧みな要素が、全編通して不自然になることなく生きているので、つい気づくのが遅くなってしまった。

「この物語、深みがないじゃん」ということに。

 兄と妹の禁断の愛がテーマであるから、ふたりとも確かに苦悩はしている。だが、その苦悩の表現方法が、やたらと大声をあげたり、わめきながら涙を流したり、のたうちまわって暴れたりといった、表面的で大仰なアクションばかりなのだ。心理を見させる演出や、兄妹の内面を観る側に想像させるための材料が少なすぎる。そのため、「なぜ悩むのか」が、ほとんど伝わってこない。近親相姦なのだから悩むのはあたりまえではあるが、兄妹がただひたすら騒々しく闇雲に苦悩しているだけに見えてきてしまって、「ちょっと……、薄っぺらいな」と呆れずにはいられなかった。兄と妹の気持ちの差異や、それぞれの希望や絶望の具体性、そういったものをもっと掘り下げてほしかったのだ。「許されない愛」を扱ったシリアス映画であるなら、尚更に。現実感と美麗さの均衡が取れている映像にはとても好感が持てたから、重みと濃さの足りない物語であったことが、単純に残念で惜しかった。

 兄妹の姉役として、片岡礼子さんが出演している。スクリーンでお見かけすると安心できる大好きな女優さんのひとりだから、とても嬉しく、頼もしかった。

観た日:2006年8月16日(水)@渋谷シネ・アミューズ・ウエスト

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テーマ : 日本映画 - ジャンル : 映画

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