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2006年05月05日(金)

『君はまだ、無名だった。』を観たよ。

 粗だらけなのに、忘れられない。

『君はまだ、無名だった。』
参考:君はまだ、無名だった。@映画生活 君はまだ、無名だった。-FLiXムービーサイト
2005年・日本・96分
監督・原案:葉山陽一郎
製作:永森裕二 大山敏 他
プロデューサー:前田茂司 狩野善則
脚本:平見瞠
撮影:中尾正人
音楽:平見文生
助監督:佃謙介
出演:椿隆之 萩原流行 宮澤美保
   阪田瑞穂 鶴田さやか 原日出子 他

 プロの作曲家として成功している和実(椿隆之)のもとに、母親(鶴田さやか)から連絡がはいった。和実の高校時代の恩師・橘(萩原流行)が亡くなった、というのだ。彼の葬儀に参列するため、和実は故郷の湘南へ向かうが、道中、音楽に夢中になっていた高校生当時を回想して……。

 公開前から、詩的なタイトルが印象に残っていた作品だった。小さな映画館でのレイト・ショー上映だったけれど、観に行ってつくづくよかったなぁ、と思っている。この作品を撮る前の葉山監督は、ホラー映画やエロティックなオリジナル・ビデオを手がけていたようだけれど、今後またこういったドラマ的作品を撮ることがあるとしたら、ぜひ観てみたい。本当に観たい。

「ノスタルジィ」という単語をつい連想してしまう、昔ながらのゆったりとした青春物語だ。正直なところ、相当荒削りで、欠点も目立つ。たとえば、主人公の和実と、宮澤美保演じるのり子という女との関係など、出逢い・経過・結末のどこを取っても、「性急すぎるだろう。その台詞はないだろう」と呆れてしまったし、音大志望にしては和実のピアノの練習方法・内容は甘すぎる。ほかにも、「え? ちょっと待って」と言いたくなってしまう些細な違和感は多々ある。

 それでも、この映画の温度と匂い、情感、雰囲気、そのすべてが、私は好きだ。若さゆえの青さや不器用さ、直情さ、そういったものが素直に、まっすぐに、飾らずに描かれていて、登場人物たちもストーリィも、愛しくて抱きしめたくなる。他者には勧めないけれど、私は好きなのだ。映画館を出たあと、夢にあふれていた自分の10代の頃を反芻する一方、おとなになった現在、当時の夢とどのようなつきあいかたをしているかに考えを馳せたりして、苦くも温かいような、複雑な気分になった。

 この作品で初めて知った女優の宮澤美保さん。どうしようかと思うくらい可愛かった。大きな瞳、真っ白な肌、儚げなたたずまい。どこもかしこも私好みの女優さんすぎてしまって、彼女の存在が、この映画に好意的になってしまう大きな理由のひとつだとは認めざるをえない。前述したように、私はこの作品を内容的には他者へ勧められないけれど、この映画の中で動く宮澤さんをたくさんの人に観てほしい、とは思ってしまう。近頃、最も心を打たれた「美しい人」だった。

観た日:2006年4月10日(月)@池袋シネマ・ロサ

テーマ : 日本映画 - ジャンル : 映画

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