『かもめ食堂』を観たよ。

►2006/05/05 21:20 

 さあ、おうちに帰ってごはんをつくろう。

『かもめ食堂』
参考:かもめ食堂@映画生活 かもめ食堂-FLiXムービーサイト
2005年・日本・102分
監督・脚本:荻上直子
プロデューサー:前川えんま 天野眞弓
エグゼクティブ・プロデューサー:奥田誠治 大島満 他
原作:群ようこ
撮影:トゥオモ・ヴィルタネン
音楽:近藤達郎
出演:小林聡美 片桐はいり もたいまさこ
   ヤルッコ・ニエミ マルック・ペルトラ タリア・マルクス 他

 日本食中心の食堂をフィンランドのヘルシンキに構えたサチエ(小林聡美)。店の名は「かもめ食堂」と言い、看板メニューはおにぎりだ。しかし、ヘルシンキの人々はなじみのない日本食になかなか寄りつかず、店は閑古鳥が鳴き続ける。ある日、サチエは本屋でミドリ(片桐はいり)という日本人女性に会った。ミドリはサチエの家に泊まることになるが……。

 観ているあいだはかなり楽しかったし、あと味もよかった。実際、荻上監督のほかの作品も観てみたいな、とは今でも強く思っている。手応えや感触は、すこぶる心地よかったのだ。

 ただ、この映画、リアリティがありそうでない。

 現実感の有無は、この作品の長所でも短所でもないし、はっきり言ってしまえば、どうでもよいのだろうとは思うのだが、私にはどうしてもひっかかってしまった。

 たとえば、サチエとミドリ、そして、もたいまさこ演じるマサコという、3人のメイン・キャラクターのバック・グラウンドについては、ほとんど言及されないのだけれど、彼女たちがそれぞれなんらかのいわくつきの過去を背負っているのだろうな、ということは、なんとなく伝わってくる。そういった陰のさりげない匂わせかた、かなり巧かった。そして、その手法に惚れた。

 しかし、メイン・キャラクターのそういったパーソナリティーとは裏腹に、映画全編に漂う雰囲気に生活感と現実感がない。たとえば、かもめ食堂は閑古鳥が鳴いて久しいのだけれど、客がはいらないその期間、サチエがどうやって生計を立てているのか、かもめ食堂の仕入れや家賃をどうやりくりしているのか、そういったことにはまったく触れられていないのだ。「触れる必要ないんだよ。映画なんだから」というご指摘が聞こえてくるような気がするが、私はこういうポイントが気になってしまうのだからしかたない。で、気になってたまらないあまり、物語に集中できなくなってしまう。キャラクターに共感もできなくなってしまう。

 でも、よい映画なのだろうな、とは思う。女性受け限定みたいな感覚ではあるけれど。「のほほん」や「ほんわか」という形容がぴったりの作品。出てくる食べ物はどれをとっても美味しそうだし、ヘルシンキの街並みや風景はキュートだし、かもめ食堂にある小物からサチエのしているエプロンに至るまで、なにからなにまでとことん可愛いったらないし。

『過去のない男』等に主演していたフィンランド人俳優のマルック・ペルトラが贅沢な使われかたで出演しているところなんて、ヨーロッパ映画好きには必見ポイント。

観た日:2006年4月30日(日)@恵比寿ガーデンシネマ

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