『サイドウェイ』を観たよ。
『サイドウェイ』
原題:"SIDEWAYS"
参考:サイドウェイ@映画生活
2004年・アメリカ/ハンガリー・130分
監督・脚本:アレクサンダー・ペイン
製作:マイケル・ロンドン
原作:レックス・ピケット
脚本:ジム・テイラー
撮影:フェドン・パパマイケル
音楽:ロルフ・ケント
出演:ポール・ジアマッティ トーマス・ヘイデン・チャーチ
ヴァージニア・マドセン サンドラ・オー 他
国語教師でワイン・マニアのマイルス(ポール・ジアマッティ)は、小説家になりたいという夢と、離婚した元妻への未練を捨てきれない、神経質な中年男。そんな彼の親友で、「過去の栄光」にすがっている落ち目の俳優・ジャック(トーマス・ヘイデン・チャーチ)が結婚することになったから、独身最後の記念にということで、ジャックとマイルスはバチェラー・パーティならぬバチェラー・トラベルに出発するのだった。とはいえ、目的地はカリフォルニアのワイナリーという、マイルスの趣味に走った旅行なのだが。
なにかの雑誌のどなたかの『サイドウェイ』に関するレビューで(あやふやすぎでごめん)、「日本でいえば『地井武男演じる焼酎おたくの男』を描いたような話だ」というような文章があって、この映画を観終えたとき、「なるほどな……」と激しく納得した。地井武男さんといえば、やはりなにかの雑誌のどなたかの『マルコヴィッチの穴』に関するレビューで(再びあやふやすぎでごめん)、「ジョン・マルコヴィッチを知らない人は、日本でいうところの『地井武男』のようなポジションの俳優だと思って観ると、この映画が理解しやすくなるだろう」といったテキストがあって、こちらにも同じく激しく「なるほどぉ……」と感じ入ったのだった。
ワインを呑みまくりつつ、恋もしちゃいつつ、ドライヴをするロード・ムービー。「サイドウェイ」@【或る日の出来事】でボー・BJ・ジングルズさんも触れていらっしゃったけど、アメリカでは、酒呑んで運転しちゃっても大丈夫なのか? きっと大丈夫じゃないんだろうし(でも、アメリカの小説を読んでると、いわゆる飲酒運転してる描写にはしょっちゅうお目にかかる。そして、どいつもこいつも悪びれてない)、州によって法律も違うんだろうけど、おおっぴらに飲酒運転しすぎよねぇ。
「ドラマ」に分類したけれど、充分にコメディでもある。ただ、「あっはっは」と爆笑できるわけじゃなくて、物語のはしばしで思わず失笑や苦笑を引き起こされちゃうたぐいのユーモア性。神経質すぎて社交性に欠けてるくせに、ワインの薀蓄を語らせたら止まらないという、ちょっとひかれちゃってもしかたないおっさんが、新たな恋を見つけて……、といった内容。もっと詳しく説明したら、すべてがネタバレになってしまうくらい、ひねりはほとんどないストレートな話。
でも、私は好きだ、こういう映画。だって、「リアリティに満ち満ちている」んだもん。マイルスを始めとした登場人物の感慨も、ストーリィ展開も、「うっわー、ありそう。うっわー、わかるなぁ、それ」って、いちいち実感・共感しちゃう。自分が酒呑みのせいもあるんだろうな。私はマイルスみたいにワインに詳しいわけじゃなくて、「呑めればなんでもいいや」っていう人間だけど、映画の中でワインに関する知識が披露されたり、ワイナリーの描写を見せてもらえたりすると、やっぱり単純に興味深いし楽しいもん。
ひとつだけ残念だったのは、マイルスの恋の相手でありヒロインでもあるマヤ(演じたのはヴァージニア・マドセン)が、自分の嫌いなタイプの女だったこと。いや、別に性格悪い女じゃないんだけどさ、私とは絶対気の合いそうにないタイプだったのよ。ヒロインに感情移入ができていたとしたら、「『サイドウェイ』って映画、最高! こういう映画大好き!!」って叫んでいたと思う、多分。
繰り返しになっちゃうけど、本当、地味で淡々とした映画。「顔は知っているけど、名前や出演作が思い出せない役者さん」ばかり出ている(あくまでも、私にとっては、だが)、っていうあたりまで地味の王道っぽい。自分好みの作品だったとはいえ、オスカーを始めとした各種映画賞で散々注目されまくっていたのが不思議でたまらない淡々地味っぷり。監督のアレクサンダー・ペインは、『アバウト・シュミット』を撮った人。あの映画の主人公は、ジャック・ニコルソン演じるコミカルながらも哀れなおじさん。『サイドウェイ』の主人公も、やっぱりコミカルながらも、どこか哀れで情けない中年。……「リアリティあるおっさん」を描くのに長けた監督さんなのかもしれない。
観た日:2005年・冬の某日@自宅にてDVD






