『マラソン』を観たよ。

 ごめん、泣けなかった。いや、わからなかったのだ。泣ける場面がどこなのか、が……。

『マラソン』
2005年・韓国・117分
監督・脚本:チョン・ユンチョル
脚本:ユン・ジノ ソン・イェジン
撮影:クォン・ヒョクチュン
音楽:キム・ジュンソン
出演:チョ・スンウ キム・ミスク イ・ギヨン 他

 チョウォン(チョ・スンウ)は20歳だが、自閉症の障害があるため、知能は5歳児並。彼は走ることが大好きで得意だ。チョウォンの母のキョンスク(キム・ミスク)には、夫と次男もいるけれど、彼女の生き甲斐は長男のチョウォン。走ることが得意の彼のために、キョンスクは元マラソン・ランナーのチョンウク(イ・ギヨン)にコーチを依頼するが……。

 実在の人物がモデルになっている映画だという。詳しくは知らないし、調べたわけでもない。だから、この作品を観た印象だけでいろいろ言ってはいけないかもしれないし、誤解を招きそうな表現を自分がしている自覚もあるのだが……、知的障害者を神聖視して美化しすぎた描きかたをフィクションでするのは、逆差別にもなりうるのではないだろうか……。

 深刻なテーマを扱った作品ではあるし、構成が悪いとも思わない。ただ、ひとつ疑問がある。この作品について各所で書かれたあらすじを読んでいるとよく出てくる「キョンスクの秘密」というのは、いったいなにを指していたのか? ネタバレココカラ(白文字のため、ご覧になるかたは反転にて)→キョンスクの病気が秘密だったのか? だが、キョンスクのあの病気は、彼女の命にかかわるほどではないわけで、秘密というほどのものではないように思う。では、キョンスクが若い頃にチョウォンを捨てようとしたことが「秘密」として扱われていた、ということなのだろうか? それならば、いくぶん納得がいくのだが……。←ネタバレココマデ

『フォレスト・ガンプ/一期一会』を観たときにも、「美化しすぎじゃないのか」という意味では、同じように思ったんだよな……。『レインマン』にも、まあ……、うん……、結構似たような感慨をいだいた。決して、障害者を扱った作品や韓国映画を非難しているわけではない。たとえば、『オアシス』などには、とても軽んじてはいけない重みを感じたし、今でも私にとっては特別な思い入れのある作品だ……。

『マラソン』を観て感心した部分がひとつある。冒頭、キム・ミスク演じるキョンスクがバスに乗っているシーンがあるのだが、その場面で、キョンスクの背中がアップになる。彼女の体の線がリアルに映るのだが、体の肉にブラジャーが食い込んでいるのがはっきりと見えるのだ。……中年女性の、日常の年齢や疲れをあからさまに見せる映像として、これ以上のものがあるだろうか。キョンスクは、太りすぎているわけでも、特別不細工なわけでもない(それどころか、美しい女性である)。正面の映像や顔のアップでは、キョンスクの体にゆるみがあるなど、ほとんどわからないわけだ。しかし、体の線が露わになる服を着た際の背後からの映像では、キョンスクの疲労と生活感と年齢がはっきりと映る。……女の現状がどこに表れるかをあからさまに見せられて、私は愕然とした。体の線に対して気をつけようと思う一方で、意図的にしろそうでないにしろ、ここまでリアリティのある「女」の映像は久々に見たな、と心底思ったのである。

試写日:6月23日@東商ホール
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ジャンル:映画

タグ:映画 外国映画 韓国映画 マラソン

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