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2008年11月22日(土)

『かぼちゃケーキを切る前に/お料理名人の事件簿2』を読んだよ。

かぼちゃケーキを切る前に (ランダムハウス講談社 ウ 3-2 お料理名人の事件簿 2)

『かぼちゃケーキを切る前に/お料理名人の事件簿2』
"Murder by the Slice"

著:リヴィア・J・ウォッシュバーン(Livia J. Washburn)
訳:赤尾秀子
発行:ランダムハウス講談社

 退職した教師フィリス・ニューサムが素人探偵を務めるミステリ・シリーズの第2弾。今回は、フィリスたちが相談役として手伝いをしている小学校の秋祭りの最中に、PTO(「保護者教師機関」の略。PTAと同種)会長の女が殺される。彼女が別のPTO役員の夫と親しげにしていた現場を目撃したことのあるフィリスは、警察に憶測を伝える前に、自分の疑問の正当性を確かめようと調査に乗り出して……。

「ああ、やっぱり、コージー寄りになってしまったか……」と落胆してしまったのが、正直なところ。

 シリーズ1作目の『桃のデザートには隠し味/お料理名人の事件簿1』を読んだときに、作風やキャラクターたちのシビアで容赦のないリアリティが気に入って、「次作以降でも、この味と雰囲気を貫いてもらいたい」と私的には思っていたのだが、2作目の今作は、ライト・テイストでひなびた感の漂う、典型的なコージーだった。そのほうがジャンルとしてふさわしい設定にはなっているに違いないから、しかたないことなのかもしれないが。

 そうはいっても、教育現場のリアルな現状や、悪意や葛藤が錯綜するキャラクターの心理描写は、前作と同様、描かれてはいるから、ほかのコージーに比べたら重苦しさの漂う内容ではあるのだが、前作に比べると、その量と深みは減ったとしかいえない。どちらがよい、という問題ではない。私自身は、前作のテイストのほうが好みだったというだけ。純粋なコージーが好きなかたには、2作目の今作のほうが味わい深いのではないかと思われる。

 今作で、「へえー、そうなのか」と、おもしろく読んだ部分がある。「現在のアメリカの学校では、『ハロウィーンのお祭り』を開催してはいけない」というのがそれだ。もちろん、アメリカでは行事としてハロウィーンをおこなっているのだけれど、学校が秋の祭りに「ハロウィーン」と冠してはいけないとなっているのだ。どうやら、差別や貧富の問題が絡んでいるらしい。

 現代のアメリカ全土がそうというわけではなくて、地域を限った風潮なのかもしれないけれど(思いきり「ハロウィーン祭り」が学校で開催されているアメリカの現代小説を読んだこともあるし)、「そういう傾向もあるわけか」と興味深い思いがした。その問題の本質について考えることができるほどハロウィーンに詳しくはないから、難しいことは言えないけれど、歴史的な文化が現代社会と密接に関わることで、どういう変化をしていくのか、その一端を、ほんの少しだけ垣間見せられたような思いがしたのだ。

テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌

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