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2008年11月15日(土)

NHK交響楽団・定期公演:11月・Bプログラム。

 恒例の、N響B定期。2008年11月5日(水)@サントリーホール。指揮者は、イルジー・コウト。

1.パウエル:ファゴット協奏曲(1949) ※ファゴット独奏:岡崎耕治

2.ブルックナー:交響曲 第4番 変ホ長調 『ロマンティック』 ノヴァーク版

 ファゴット・コンチェルトのソリストを務められた岡崎さんは、N響の主席ファゴット奏者。来年、定年を迎えられるという。

 パウエルという作曲家も、この人が作ったファゴット協奏曲の存在も、私は今まで知らなかった。ファゴットという楽器の音を、これほどまでにじっくり聴いたのも、初めての経験だった。

 ファゴットって、こんなにも表情の違う音を次から次へと出せる楽器なのか ― このコンチェルトを聴くと、ただただ驚いてしまう。ユーモラスなメロディ、軽快なパート、ドラマティックで美しいアダージョ楽章。ファゴットは堂々と主役を張っていて、多彩な音を聴かせてくれた。

 パウエルは管楽器のための曲を作るのが得意な作曲家だったという。このコンチェルトのアダージョ楽章では、主題を奏でるファゴットに、クラリネットやフルートの音色が絡まりあってくる部分があるのだが、その競演の艶かしいことといったら! 「管楽器の音色が逢いびきをしている」かのようだった。

 ファゴット・コンチェルトが終わって、岡崎さんに拍手をしているとき、「岡崎さん、来年、定年なんだ。N響から、いなくなっちゃうんだ」と思ったら、せつなくて淋しくて、涙が出てしまった……。

 2曲目は、ブルックナーの4番シンフォニー。ブルックナーの交響曲の中で、最も有名な作品だろう。

 クラシック音楽にはまりたてだった頃、「ブルックナーが好き」というのは、なんとなく格好よいんじゃないかという気がして、この作曲家の曲を懸命に聴いていたものだった。特に4番シンフォニーは、『ロマンティック』という表題の意味深さにも惹かれて、初稿とノヴァーク版を聴き比べてみたり、この曲に関するテキストを貪るように読んだりしたものだった。

 そんな付け焼刃の知識は、結局、なんの役にも立っていなくて、また、「趣味で見栄を張る」のもばからしくなったから、今はブルックナーとそんなに身近でもないのだけれど、ときどき、こうしてオーケストラで通して聴くと、「いいなぁ。楽しいなぁ」と素直に感じることができる。4番シンフォニーは、演奏時間が約72分と、結構長い曲だ。でも、どの楽章を聴いていても飽きなくて、演奏が終わってしまったとき、「もっと聴いていたかったな。やっぱりオケの音って好きだな」としみじみ思う。長大なシンフォニーを聴くのは、クラシック・ファンではない人にとっては、拷問でしかないのかもしれないが、こういう曲を純粋に「楽しい」と思える自分に気づくと、「私はクラシックに詳しいわけでも、なにかの楽器が弾けるわけでもないけれど、単なる『聴く側』としては、クラシックと相性がよいんだろうな」と、なんとなく感じて、嬉しくなる。

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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