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2008年10月14日(火)

『七夜待』を観たよ。

 要所要所に挟まれたシーンで、主人公をマッサージしていた男。彼は、誰なのだろう。あの場所は、どこなのだろう ― それは、自分自身で「想像」しなくては。

『七夜待』
公式ブログ:【七夜待 日々癒ブログ】
※2008年11月1日(土)より〔シネマライズ〕・〔新宿武蔵野館〕他にて全国ロードショー。

2008年・日本・90分
監督・脚本:河瀬直美
プロデューサー:長澤佳也
脚本:狗飼恭子
出演:長谷川京子 グウレゴワール・コラン 村上淳 他

 タイのバンコクに到着して、タクシーに乗った彩子(長谷川京子)は、泊まる予定だったホテルではなく、森の中へ連れて行かれてしまった。そのタクシーの運転手、タイ人の親子、フランス人の男と、彩子は奇妙な共同生活を始めることになるが……。

 狗飼恭子と監督の河瀬直美の名前が脚本にあるが、今作はいわゆる「脚本のない映画」だったようだ。撮影時に、監督が出演者にメモを渡す。そこに書かれているのは、その日に撮影する「行動」だけであり、台詞や他のキャストとのやり取りは、役者自身に生み出させたということである。

 そのため、擬似ドキュメンタリー的な作品になっている。臨場感は激しいが、脈絡がないように見えたり、唐突さばかりが目立つように感じられたりする部分も多かった。主軸となるストーリィがなく、また、観ていて湧いた疑問点の多くが解消されないままエンド・ロールを迎えることになるので、正直なところ、「消化不良の映画だなぁ」と思ってしまった。

 ただ、それだけ、観る側にとっての自由度が高い作品ともいえる。起承転結を自分の脳内で補完することにより、自分自身が主人公の彩子となって、「私だけのストーリィ」を創りあげることが可能だからだ。

 想像力をふくらませるための「材料」は、映像の中にあふれている。彩子が接することになるタイ人たちやフランス人のバック・グラウンド、タイという国の貧困層の現状、幻想的にすら映る「森の中」の家 ― それらを駆使して、自分なりの物語を創りあげないと、この映画は「意味のわからない、つまらない作品」で終わってしまう。監督の河瀬直美をはじめ、スタッフやキャストが、観る側にどう感じてほしいと願って今作を創ったのかはわからないが、少なくとも、私は、自分自身でストーリィを補完しないと、この映画に納得することができなかった。

 キー・パーソンとなるタイ人の親子がいる。母親と幼い息子で、「この子の父親は日本人なの」と、母親は言う。きっと、彼女は若い頃に、日銭を稼ぐために体を売っていて、日本人観光客の男の相手をしたときに、その息子を宿したのだろう。あるいは、相手をした客たちの中で、「富める国・日本」の男を、息子の父親と思いこむことにしたのだろう ― そういう過去があったのではないか、と私は考えたが、どう想像するかは、今作を観る人、それぞれである。このタイ人の親子に限らず、その他のキャラクターに関しても。

試写日:2008年10月10日(金)@ニッショーホール

↓参考↓
七夜待@映画生活
「七夜待」の映画詳細、映画館情報はこちら >>

↓関連商品↓
madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2008年 9/20号 [雑誌]

テーマ : 日本映画 - ジャンル : 映画

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