NHK交響楽団・定期公演:9月・Bプログラム。

►2008/09/25 07:18 

 NHK交響楽団の定期演奏会は、毎年9月が新シーズンの始まり。たとえ残暑が厳しくて、服装をなかなか秋物へシフトできなくても、N響の定期が始まると、「ああ、秋になったんだなぁ」としみじみ思う。暑いんだけどさ、まだ。

 もう何年通い続けているかすら忘れてしまった、N響定演のBプログラム(サントリーホール定期)1日目(水)。10年以上は継続してるかな……。2008年9月のBプロでは、タン・ドゥンが指揮台に立った。プログラムは下記。

1. バルトーク:舞踏組曲 BB86a(Sz.77)

2. タン・ドゥン:マルコポーロの4つのシークレットロード
         ―オーケストラと12のチェロのための(2007年版) ※日本初演

3. タン・ドゥン:ピアノ協奏曲『ファイア』(2008) ※日本初演/ピアノ独奏:小菅優


 タン・ドゥンというと、映画ファンとしては、『グリーン・デスティニー』でオスカーを受賞した作曲家としても記憶に鮮明。N響には、よく客演する音楽家でもあるから、お顔はもちろん知っていて、音楽とはあまり関係のない印象でなんだけど、姿勢のよい彼が上品にタクトを振る「指揮姿」が、私は前々から好きだ。格好よいんだもん。

 今回の定演では、タン・ドゥン作曲の2曲が披露されて、そのいずれも日本初演という贅沢さ。演奏前に、タン・ドゥン自ら曲の解説をするトーク・タイムまであった。オーケストラの演奏会では、珍しいこと。

 いわゆる現代音楽が、私はあまり得意ではないのだけれど、タン・ドゥンの曲は、メロディーがあってストーリィ性が感じられるから、飽きずに楽しんで聴ける。

『マルコポーロの4つのシークレットロード―オーケストラと12のチェロのための(2007年版)』の「12人のチェロ」は、オケのチェロ・セクション。パートによっては、チェロの音が「二胡」の音のようにも聴こえる。全体的にとても東洋的な曲なのだが、世界初演はベルリン・フィルだったらしい(あのオケのチェロ・セクションっていえば、世界一有名なスーパー・チェロ軍団だよな)。「このいかにもアジアンな曲を、ベルリン・フィルのチェローズ(←こんな言葉はないんだけど、ついうっかり使ってしまう)が演奏したのかぁ……」と考えたら、なんだかおもしろくなってしまった。失礼だけど。

 チェリストたちもオケのほかのメンバーも、声を出したり(なんて言ってたんだろ。かけ声っぽかった)、楽器を手で叩いたり(ホルンがマウスピースをぼんぼん叩いて音を出したのには、面食らった)、足で床を踏み鳴らしたりする。すごくおもしろかったけど、こういう音楽に慣れていない私は、何度も唖然としてしまった。

 クラシック・ファンなら、みなさん、そうだろうとは思うんだけど、「あ、このソロの音は○○の楽器だ。あー、今、メインで演奏してるのは××のセクションだな」というくらいは、目をつむって聴いていてもわかる(だからって、「第2ヴァイオリンの△番プルトのどっち側の音がずれた」とかいうことまで聴き取れる域には、私ごときは、もちろん達してないよ)。でも、今回聴いたタン・ドゥン作曲の2曲では、「え? 今の音って、なんの楽器よ?」と不思議になって、その正体を確かめるために慌ててオケを見渡す、なんていうことを何度もした(しかし、音が出たあとに探したって、当然ながら、発見できない)。どうやら、一般的なクラシック音楽にはなかなか登場しない、耳になじみの薄い楽器が、いろいろと使われていたみたい。特に、パーカッションに。今、パンフレットで編成を確かめてみたら、「金属缶」、「ウッド・ブロック」、「チベット・シンギング・ボウル」、「スラップスティック」、「ウォーターフォン」といった楽器名がある。なんだ、それは。

 そんなこんなで、耳にだけでなく、目にもおもしろかった、N響9月B定期。その視覚的におもしろかった楽器の形状と音を、私はほとんど一致させられなかったとはいえ。

 そして、チェロ・セクションが盛りあがっていた曲と、エキセントリックなピアノ・コンチェルトの印象が強烈すぎて、……バルトークの記憶はすっ飛んだ。

テーマ : クラシック - ジャンル : 音楽

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