『注文の多い宿泊客/朝食のおいしいB&B〔1〕』を読んだよ。

►2008/09/22 15:28 

注文の多い宿泊客 (ランダムハウス講談社 マ) (ランダムハウス講談社文庫)

『注文の多い宿泊客/朝食のおいしいB&B〔1〕』
"Murder on the Rocks"

著:カレン・マキナニー(Karen MacInerney)
訳:上條ひろみ
発行:ランダムハウス講談社

"Bed and Breakfast" ― 略して"B&B"と呼ばれる「朝食付きホテル」を経営するナタリーが主人公の、コージー・ミステリ・シリーズ第1弾。舞台は、アメリカ合衆国はメイン州の小さな島、クランベリー島。

 自然豊かなクランベリー島が、大々的なリゾート開発の危機にさらされていた。その開発の有力者が何者かに殺される。死体を発見したナタリーは、第1容疑者と見なされてしまい、身の潔白を証明するべく、自ら犯人探しに乗り出すが ― という、コージーにありがちなストーリィ。

 主人公の女性素人探偵が、洒落っ気がなくてナチュラル派でさばさば系。そんな彼女に好意を寄せる、セクシーな男性が近所に住んでいる。主人公は携帯電話やパソコンを持っていない。主人公の親友に、寛大だがおしゃべりなゴシップ女王がいる。アメリカの地方が舞台。具体的な料理描写が、次から次へと展開される(今作はB&Bの経営者が主人公ということもあり、コーヒー・ケーキやフルーツたっぷりのマフィン、バターの香り豊かなワッフルなどといった「甘い粉物」が、これでもかとばかりに登場する。巻末には、レシピもついていたりなんかして) ― などなど、どこからどう見ても、「鉄壁のコージー!」という内容。ジョアン・フルークのハンナ・シリーズや、ドナ・アンドリューズのメグ・シリーズがお好きな人なら、必ずやお気に召すと思う。

「こういう展開、いろんな意味でありえない」とは思いつつも、私もコージーが好きだから、普通に楽しく読めた。たとえ非現実的でも、のほほんとしたヴァカンス気分みたいなのを手っ取り早く味わえるのがコージーの魅力だ、と思っているから。今後の邦訳が楽しみのシリーズが、またひとつ増えたわ。

 ただ、今作に限らないけれど、現代が舞台のコージーを読んでいて、よく思うのは、「この主人公、携帯電話を持っていたら、絶対、こんな危ない目に遭わないよな……」ということ。文明の利器なんか存在しないかのような「ひなびた感」も、この手のジャンルの魅力とはいえ、コージーを楽しんだあとにはいつも、「大都会を舞台に、最先端のシステムを駆使して、凄惨な事件を捜査するポリス&リーガル・ミステリ」が読みたくなるんだよな。で、ポリス&リーガルの緊張感を堪能したあとには、……今度はやっぱり、コージーかドメスティック・ミステリに触れたくなるんだ。

テーマ : 海外ミステリ - ジャンル : 本・雑誌

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