2008年02月15日(金)
『潜水服は蝶の夢を見る』を観たよ。
「皮肉」が爽快。
『潜水服は蝶の夢を見る』
"LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON"
"THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY"
2007年・フランス&アメリカ・112分
監督:ジュリアン・シュナーベル
製作:キャスリーン・ケネディ ジョン・キリク
製作総指揮:ジム・レムリー ピエール・グルンステイン
原作:ジャン=ドミニク・ボビー
脚本:ドナルド・ハーウッド
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:ジュリエット・ウェルフラン
音楽:ポール・カンテロン
出演:マチュー・アマルリック マリ=ジョゼ・クローズ エマニュエル・セニエ
オラツ・ロペス・ヘルメンディア アンヌ・コンシニ パトリック・シェネ 他
働き盛りで遊び盛りの42歳、あの有名ファッション誌『ELLE』の編集長、女も美食もお洒落に謳歌 ― 「ジャン=ドー」ことジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は、時代のそんな成功者だった。しかし、突然の脳梗塞で「ロックト・イン・シンドローム」となってしまう。「閉じ込め症候群」とも呼ばれるこの症状に襲われた彼は、全身の自由を失って、左の瞼しか動かせなくなったのだ。初めは絶望に沈んだジャン=ドーだったけれど、やがて、自伝を書こうと思い立つ。かくして、「左目の瞬きのみで言葉を伝える」ことによって、ジャンドーは自身を語り始めた。
実在の人物ジャン=ドミニク・ボビーの自伝がベースになっている作品。つまり、実話の映画化である。
映像や内容もさることながら、なにより、詩的ではあっても意味不明なタイトルが、初めて予告編を観たときからずっと頭にひっかかっていて、「この映画、観よう」という気持ちになった。もちろん、映画を観れば、この意味不明なタイトルに「どういう意味があるのか」ということが、きちんとわかる。
「お涙ちょうだいの物語にはしたくなかった」というようなことを、ジュリアン・シュナーベル監督がなにかのインタビューでおっしゃっていた。その思惑は見事に成功していて、この作品には、ユーモアと冷静な視点、そして、「皮肉」があふれている。特に、主人公ジャン=ドーの「心の声」が、なにかと的確にアイロニカルで、爽快ですらあるのだ。
「左目の瞼しか動かせなくなった、気の毒な男」の物語だというのに、この映画を観ていると、思わずくすっと笑ってしまったり、登場人物たちのスタイリッシュなファッションに憧れたり、揃いも揃って美人の女優さんたちに見惚れたり、粋で躍動感のあるカメラ・ワークに感嘆のため息をもらしたりできる。とにかくユーモラスで、とびきりお洒落なのだ。
しかし、「非・お涙ちょうだい」だからといって、感動できないというわけではない。それどころか、とても胸に響く。まっすぐに考えさせられる。感動を煽る過剰な演出がないからこそ、この映画が描いている人物と事実にじっくりと落ち着いて向き合えるとも言えるように思えた。
ジャン=ドーと、彼を取り巻く人々の交流が、語弊を承知で言うが「魅力的」である。特に、ジャンドーが自伝を書こうと思いついてから、彼の言葉を書き留めるために出版社から派遣されてくるある女性がいるのだけれど、彼女とジャン=ドーの紡ぎ出す「情景」が、私にはすこぶる優しい風景に見えた。熱かったり激しかったりする感情がそこに見えるわけではなく、また、見える必要もまったくないのだが、それでも、いや、だからこそ、「いい関係だなぁ」としみじみとして、思わず口もとがほころんでしまう。そんな心地よい情景をふたりはかもし出していた。羨ましいと素直に思える距離感でもあった。
ラストの余韻はせつないが、味わい深くもある。ジャン=ドー本人による原作を、ぜひ読んでみたくなった。
ところで、撮影のヤヌス・カミンスキーは、ハリウッドのベテランのようで、『ミュンヘン』や『マイノリティ・リポート』、『プライベート・ライアン』、『シンドラーのリスト』などなど、あらゆる有名作の撮影を担当しているらしい。公開を控えている最新作は、あの『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』。そんなカミンスキーの奥さまは、女優のホリー・ハンター。……そうなんだぁ、全然知らなかったわ。
観た日:2008年2月10日(日)@シネカノン有楽町2丁目
お気が向かれたら →

↓参考↓
潜水服は蝶の夢を見る@映画生活
「潜水服は蝶の夢を見る」の映画詳細、映画館情報はこちら >>
↓観た作品&関連商品↓
![キネマ旬報 2008年 2/1号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ACWTn3jfL._SL160_.jpg)

潜水服は蝶の夢を見る 通常版(Amazon)
『潜水服は蝶の夢を見る』
"LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON"
"THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY"
2007年・フランス&アメリカ・112分
監督:ジュリアン・シュナーベル
製作:キャスリーン・ケネディ ジョン・キリク
製作総指揮:ジム・レムリー ピエール・グルンステイン
原作:ジャン=ドミニク・ボビー
脚本:ドナルド・ハーウッド
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:ジュリエット・ウェルフラン
音楽:ポール・カンテロン
出演:マチュー・アマルリック マリ=ジョゼ・クローズ エマニュエル・セニエ
オラツ・ロペス・ヘルメンディア アンヌ・コンシニ パトリック・シェネ 他
働き盛りで遊び盛りの42歳、あの有名ファッション誌『ELLE』の編集長、女も美食もお洒落に謳歌 ― 「ジャン=ドー」ことジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は、時代のそんな成功者だった。しかし、突然の脳梗塞で「ロックト・イン・シンドローム」となってしまう。「閉じ込め症候群」とも呼ばれるこの症状に襲われた彼は、全身の自由を失って、左の瞼しか動かせなくなったのだ。初めは絶望に沈んだジャン=ドーだったけれど、やがて、自伝を書こうと思い立つ。かくして、「左目の瞬きのみで言葉を伝える」ことによって、ジャンドーは自身を語り始めた。
実在の人物ジャン=ドミニク・ボビーの自伝がベースになっている作品。つまり、実話の映画化である。
映像や内容もさることながら、なにより、詩的ではあっても意味不明なタイトルが、初めて予告編を観たときからずっと頭にひっかかっていて、「この映画、観よう」という気持ちになった。もちろん、映画を観れば、この意味不明なタイトルに「どういう意味があるのか」ということが、きちんとわかる。
「お涙ちょうだいの物語にはしたくなかった」というようなことを、ジュリアン・シュナーベル監督がなにかのインタビューでおっしゃっていた。その思惑は見事に成功していて、この作品には、ユーモアと冷静な視点、そして、「皮肉」があふれている。特に、主人公ジャン=ドーの「心の声」が、なにかと的確にアイロニカルで、爽快ですらあるのだ。
「左目の瞼しか動かせなくなった、気の毒な男」の物語だというのに、この映画を観ていると、思わずくすっと笑ってしまったり、登場人物たちのスタイリッシュなファッションに憧れたり、揃いも揃って美人の女優さんたちに見惚れたり、粋で躍動感のあるカメラ・ワークに感嘆のため息をもらしたりできる。とにかくユーモラスで、とびきりお洒落なのだ。
しかし、「非・お涙ちょうだい」だからといって、感動できないというわけではない。それどころか、とても胸に響く。まっすぐに考えさせられる。感動を煽る過剰な演出がないからこそ、この映画が描いている人物と事実にじっくりと落ち着いて向き合えるとも言えるように思えた。
ジャン=ドーと、彼を取り巻く人々の交流が、語弊を承知で言うが「魅力的」である。特に、ジャンドーが自伝を書こうと思いついてから、彼の言葉を書き留めるために出版社から派遣されてくるある女性がいるのだけれど、彼女とジャン=ドーの紡ぎ出す「情景」が、私にはすこぶる優しい風景に見えた。熱かったり激しかったりする感情がそこに見えるわけではなく、また、見える必要もまったくないのだが、それでも、いや、だからこそ、「いい関係だなぁ」としみじみとして、思わず口もとがほころんでしまう。そんな心地よい情景をふたりはかもし出していた。羨ましいと素直に思える距離感でもあった。
ラストの余韻はせつないが、味わい深くもある。ジャン=ドー本人による原作を、ぜひ読んでみたくなった。
ところで、撮影のヤヌス・カミンスキーは、ハリウッドのベテランのようで、『ミュンヘン』や『マイノリティ・リポート』、『プライベート・ライアン』、『シンドラーのリスト』などなど、あらゆる有名作の撮影を担当しているらしい。公開を控えている最新作は、あの『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』。そんなカミンスキーの奥さまは、女優のホリー・ハンター。……そうなんだぁ、全然知らなかったわ。
観た日:2008年2月10日(日)@シネカノン有楽町2丁目
お気が向かれたら →
↓参考↓
潜水服は蝶の夢を見る@映画生活
↓観た作品&関連商品↓
![キネマ旬報 2008年 2/1号 [雑誌]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51ACWTn3jfL._SL160_.jpg)

潜水服は蝶の夢を見る 通常版(Amazon)
この記事のトラックバックURL
→http://kanno.blog10.fc2.com/tb.php/1257-4b324937
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
『潜水服は蝶の夢を見る』を観ましたファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、脳梗塞で左目のまぶた以外の自由が効かなくなってしまった男の実話を映画化した感動のヒューマン・ドラマです>>『潜水服は蝶の夢を見る』関連原題: LESCAPHANDREETLEPAPI...
2009/08/24(月) 22:53:02 | おきらく楽天 映画生活
随分前に(汗)WOWOWで鑑賞―【story】脳梗塞による昏睡状態から目覚めたものの、左目の目蓋以外を動かすことが出来なくなったファッション雑誌ELLEの編集長ジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)。意識ははっきりしているにもかかわらず言葉を発することが...
2009/06/11(木) 17:52:48 | ★YUKAの気ままな有閑日記★
あらすじ昏睡状態から目覚めたものの、左目のまぶた以外を動かすことができないジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)。意識は、はっきりしているにもかかわらず、言葉を発することができない彼に、言語療法士のアンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)はま...
2008/10/11(土) 16:14:10 | 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ
「潜水服は蝶の夢を見る」
「団塊ボーイズ」
2008/07/31(木) 10:39:41 | Akira\'s VOICE
20万回の瞬きと、想像力と、記憶。
2008/07/21(月) 20:36:09 | 悠雅的生活
約1ヵ月ぶりに映画館に行きました。ずーっと観たい!と思っていた映画、『潜水服は蝶の夢を見る(原題:LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON/THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY)』を観て来ました。 この作品は実話を基にした物語で、2007年度の外国語映画賞を総なめにした注...
2008/04/16(水) 21:07:35 | 蛇足帳~blogばん~
この映画、ジョニー・デップでは演じることはできなかったと思います。(2008年
2008/04/03(木) 22:09:10 | eclipse的な独り言
22.潜水服は蝶の夢を見る■原題:LeScaphandreetlePapillon■製作年・国:2007年、フランス=アメリカ■上映時間:112分■鑑賞日:2月16日、シネマライズ(渋谷)■公式HP:ここをクリックしてください□監督:ジュリアン・シュナーベル□脚本:ロナルド・ハー...
2008/03/25(火) 01:00:59 | KINTYRE’SDIARY
人気ファッション誌「ELLE」の編集長だったジャン=ドミニック・ボビー氏。 突然
2008/03/10(月) 17:47:03 | 犬も歩けばBohにあたる!
潜水服は蝶の夢を見る☆マチュー・アマルリックの素晴らしい演技!!
20万回の瞬きで自伝を綴った、驚異の実話!
圧倒的な映像美で描く、きらめく愛の感動作
?
2月16日、京都シネマにて鑑賞・・・・・。
?
?
?
実在した奇跡の伊達男、ジャン=ドミニク・ボビー
彼はファッション界を左右するフランス版ELLEの名編集長だっ...
2008/03/10(月) 00:33:13 | 銅版画制作の日々
瞬きの 紡ぐ人生 羽ばたきの
それにしても、イントロのクレジット(背景がX線写真)から、この映画やるな、そう思わせぶりの作品。と思いきや、本編に入ると、いきなり朦朧とした映像。そうか、観客は主人公の目を通して周囲を見ているんだ。私たちは主人公そ...
2008/03/09(日) 07:19:08 | 空想俳人日記
\'08年ゴールデン・グローブ賞、監督賞・外国語映画賞おめでと〜!それと、マチュー・アマルリックのセザール賞、主演男優賞受賞もその他、セザール賞編集賞受賞、他、アカデミー賞も主要7部門ノミネート。
2008/03/02(日) 12:38:49 | レザボアCATs
【2008-45】潜水服は蝶の夢を見る(Le Scaphandre et le Papillon)
人気ブログランキングの順位は?
ぼくは生きている。話せず、身体は動かせないが、
確実に生きている。
ジャン=ドミニク・ボビー
ELLE編集長、42歳、子供3人の父親。
ある日倒れ、身体の自由を失った。
そして左目の瞬きだけで語り始める。
蝶のように飛び...
2008/03/01(土) 09:44:09 | ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!
今日は『潜水服は蝶の夢を見る』を見てきました。
主人公ジャン=ドー役をジョニーが演じるかもしれなかったと知り、見てみたくなった作品です。
実際にジャン=ドー役を演じたのは、マチュー・アマルリックっていう役者さんなのですが、演技、非常に良かったです。ある
2008/02/24(日) 18:16:43 | Matthewの映画日記?
★★★★★byおたむ
涙を誘わない超感動作。こういうのって大好き。
原題☆LE SCAPHANDRE ET LE PAPILLON/THE DIVING BELL AND THE BUTTERFLY
製作☆2007年...
2008/02/23(土) 00:35:00 | おたむ’ず
監督:ジュリアン・シュナベール CAST:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ 他
第60回カンヌ映画祭 監督賞他受賞
第65回ゴ...
2008/02/18(月) 12:51:41 | Sweet*Days**
『ぼくは生きている。 話せず、身体は動かせないが、 確実に生きている。』
コチラの「潜水服は蝶の夢を見る」は、2/9公開となった\"20万回の瞬きで自伝を綴った、脅威の実話!圧倒的な映像美で描く、きらめく愛の感動作\"なのですが、観て来ちゃいましたぁ〜♪
2008/02/17(日) 19:51:45 | ☆彡映画鑑賞日記☆彡
□作品オフィシャルサイト 「潜水服は蝶の夢を見る」□監督 ジュリアン・シュナーベル □原作 ジャン=ドミニック・ボービー □キャスト マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、マックス・フォン・シドー、ジャン・ピエール=カッセ...
2008/02/17(日) 10:51:58 | 京の昼寝〜♪
素晴らしい映画だった。早くも今年のマイ・ベスト候補は間違いない。
原題は「潜水服と蝶」だが、日本語タイトルも悪くない。映画ファンなら...
2008/02/17(日) 09:26:20 | 或る日の出来事
「潜水服は蝶の夢を見る」についてのレビューをトラックバックで募集しています。 *出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ、オラツ・ロペス・ヘルメンディア、ジャン=ピエール・カッセル、マリナ・ハンズ、マッ...
2008/02/16(土) 09:27:54 | 映画レビュー トラックバックセンター
| HOME |










