2007年12月22日(土)
『絶叫』・『冷笑』・『妄執』を読んだよ。
『絶叫』
"Likely to Die"
『冷笑』
"Cold Hit"
『妄執』
"The Deadhouse"
作:リンダ・フェアスタイン
訳:平井イサク
発行:ハヤカワ・ミステリ文庫
ニューヨークを舞台に、ちょっとセレブちっくながらも重厚な味わいで繰り広げられる、検事補アレックスことアレグザンドラ・クーパーが主人公のミステリ・シリーズを、2・3・4作目と続けて読んだので、まとめて記録。ジャンルとしてはポリス&リーガル。
シリーズ第2弾は『絶叫』。マンハッタンの巨大メディカル・センターで、脳神経外科の大家である女性医師が殺されたことから始まるストーリィ。巨大病院の暗部や、脳神経外科に関する薀蓄がたっぷりで、大変面白く読んだ。ものすごい取材力。
シリーズ第3弾は『冷笑』。アレックスすら越えるセレブ中のセレブである画商の世界が舞台になったストーリィ。殺されたのは、富と権力を持った画商の美しく妖艶な若妻。盗難絵画や美術品交渉の疑惑等が描かれた内容は、美術業界ミステリが大好きな私にはとても美味しかった。ただ、ラストが些か説明不足の印象も。シリーズ・キャラクターのマーサー・ウォーレスが深刻な事態に陥る。
シリーズ第4弾は『妄執』。大学教授たちの因縁と暗部をテーマにした、アカデミック・ミステリ。ルーズヴェルト島の歴史と発掘にスポットがあてられており、大変ドラマティックに描かれていて興味をそそられることしきりなのだけれど、どこまでが真実でどこからがフィクションなのだろう? シリーズ・キャラクターのマイク・チャップマンに恋人ができるという、ちょっと大きな「事件」もあり。とても読み応えのあった1作だったが、殺された被害者の女性の名前が「ローラ」というのは、いかがなものか。というのも、アレックスの秘書をしているシリーズ・キャラクターの名前が、既に「ローラ」なのだ。もう少しネーミングに気遣いがあってもよいのではないか。英語表記なら、区別が容易につくのかもしれないが。
嬉しいことに、シリーズが進むにつれて、確実に緻密で複雑に面白くなっていく。今後も読み進めるのがとても楽しみだ。最新邦訳『軋轢』も刊行されたという。早く買いに行かなきゃ。
ところで、このシリーズ等の訳を手がけられていた翻訳家の平井イサクさんが2007年11月30日に亡くなられた。浅羽莢子さんがご逝去なさった記憶がまだ新しい今、翻訳家さんの訃報が続いて、とても悲しい。
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テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌
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