『パンズ・ラビリンス』を観たよ。
2007-11-15(Thu)
〔映画生活〕さんでは「ホラー」に分類されてるんだね。
『パンズ・ラビリンス』
"EL LABERINTO DEL FAUNO"
"PAN'S LABYRINTH"
2006年・メキシコ&スペイン&アメリカ・119分
監督・製作・脚本:ギレルモ・デル・トロ
製作:アルフォンソ・キュアロン フリーダ・トレスブランコ 他
製作総指揮:ベレン・アティエンサ エレナ・マンリケ
撮影:ギレルモ・ナヴァロ
編集:ベルナ・ビラプラーナ
音楽:ハビエル・ナバレテ
出演:イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ
ダグ・ジョーンズ アリアドナ・ヒル 他
1944年・スペイン―母親のカルメン(アリアドナ・ヒル)がビダル大尉(セルジ・ロペス)と再婚したことにより、オフェリア(イバナ・バケロ)は母について山間部の家にやって来た。フランコ政権に抵抗するゲリラを、ビダルはこの地で鎮圧しようとしているのだ。冷酷非情で残忍なビダルは、オフェリアにとって恐怖と憎しみの対象でしかない。あるとき、オフェリアは妖精のあとを追って不思議な場所に迷い込む。そこは牧神パン(ダグ・ジョーンズ)の迷宮で、彼によると、魔法の国に住んでいた姫君の生まれ変わりがオフェリアだというのだ。彼女がその国へ戻るためには、3つの厳しい試練をクリアしなければならない。オフェリアは試練に挑む決意を固めるが……。
昔、『FINAL FANTASY VII』っていうRPGがあって、私が一番好きなゲームなんだけど、それに「イン&ヤン」っていうモンスターが出てきた。毛のない皮膚(多分)に覆われた人系モンスターで、地下室に住んでて、「でろーん、れろーん」っていう妙な動きをして、おまけにやたらと強かったんだよね。こいつに遭うとちょっとやばいぞ、って感じの。だけど、そのキワモノっぷりが印象に残って、最後には結構執着してた(早い話が、好きだった)。で、『パンズ・ラビリンス』に、目が取り出し自由(?)の毛なし系ヒト形クリーチャー(ペイルマンというらしい)が登場するんだけど、こいつが! イン&ヤンにそっくり!! 動きなんか特に!! 住んでる場所も、いかにもああいうところっぽい!! ……もう感動しちゃってねぇ、私は。「イン&ヤンが実写(?)になったら絶対こんな感じだよ!!」と胸中で大興奮。あぁ、あのクリーチャーをもっと長く見ていたかった……。
だからというわけでもないけれど、『パンズ・ラビリンス』はダーク・ファンタジー系のゲームをプレイしているような感覚で観ていた。現実世界での境遇に恵まれていないプレイヤー・キャラの少女がいて、世の中も平和からほど遠くて、「思想」や「軍」が人々の自由を奪って恐怖を煽っていて、残虐非道の悪い親玉がいて、主人公に試練を課す迷宮(=ダンジョン)があって、という。ゲームやグロ系のアニメによく見られる設定で、この映画がゲームになったら結構面白いんじゃないだろうか、と思ったくらい。
実は、ものすごく期待して観に行った(そのわりには、映画館へ足を運ぶまでが遅かったけど)。第79回アカデミー賞の中継でこの作品の映像に初めて触れたときから「絶対観たい!」と気になっていて(オスカーでは撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞)、今年の各種ムービー・ランキングでは絶対上位に来そうな高評価を集めまくっていて、現に、上映館でもロング・ヒット中。「今までに体験したことがない吃驚仰天の作品世界を見せてもらえるに違いない!」と、空恐ろしさすらいだいてわくわくとスクリーンの前に座った。
しかし、いざ蓋をあけてみたら、私のようなヲタクには身近なゲーム・アニメ・漫画等でよく見かけるたぐいのストーリィでありキャラクターでありモチーフ。充分に興味深くて質の高い映画ではあったのだけれど、一番感じたかった「新鮮味」を全然味わえなかったので、拍子抜けの感が強かった。でも、これは観るに際する私の姿勢の問題。予備知識なしで、別段期待もせず観に行っていたら、それなりに衝撃を受けていろいろ褒めていたかもしれない。
どうにもテンションがあがらないのは、まあ、映画におけるファンタジーというジャンルにもともと大して執着がないせいもあるのかもしれない。……こんなまわりくどい言いかたになってしまうのは、これほど高い評価が目立ちまくりの作品に対して「ふーん」程度の感慨しか持てなかった自分に、些か危機感を覚えてしまっているせいかも。大絶賛が飛び交う『ヘアスプレー』に嫌悪感しかいだけなかったときの、「あ、私の感覚、もしかしてやばい?」っていう疎外感再び、ってところ。
とはいえ、繰り返しになるが、今作がつまらなかったわけではない。おどろおどろしかったり絢爛豪華だったりする迷宮の映像は一見の価値があり、ディテールの凝った特殊効果は拍手に値する。また、陰惨ながらも現実的な圧政への抵抗という実情と、神話の世界から抜け出てきたかのような鉄壁のファンタジー世界を融合させた構成力の妙は抜群。残虐で目を背けたくなる拷問のシーン等があって心に重さを残すが、人権や争い、自由や命、意志等について真剣に考えるためのきっかけを与えてくれるような意味が感じられ、無駄なシーンはひとつとしてなかったように思う。加えて、気味の悪さと美しさが紙一重の音楽も秀逸。
ラストの解釈にはさまざまな意見があるようだが、私はあれもひとつのハッピー・エンドだと捉えた。あと味は決して悪くない。それどころか、個人的な余韻には希望の味わいがあった。
あんなに不気味な迷宮をオフェリアがなにがなんでもクリアしようとする気持ちは、哀しくて痛々しいが理解には難くない。憎悪すべき冷酷なビダルへの恐怖と背中合わせで暮らすくらいなら、命を賭して迷宮に挑んだほうがまだ救いがあったのだ。オフェリアがそう具体的に分析・判断していたとは思えないが、現実世界の実情に絶望した彼女の本能がそれを悟ったのだろう。そう思うと、この映画の"だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した。"というキャッチ・コピーは言い得て妙だったと感心する。
オフェリアを演じたのは、1994年生まれのイバナ・バケロ。彼女、脚がものすごく綺麗だった。脚をさらすシーンなんてあまりないのだけれど、衣装の隙間からほんの一瞬のぞく腿やふくらはぎの美しいことといったら。この歳にして既に色香を漂わせる眼差しをしてもいて、今後が楽しみな女優さんだ。
ちなみに、牧神パンもイン&ヤンもどきのペイルマンも『ファンタスティック・フォー/銀河の危機』のシルバーサーファーも、演じたのはダグ・ジョーンズという人。すごいなぁ。パントマイムがお得意というこの俳優さんの素顔、私はまだ見たことがないよ。
観た日:2007年11月13日(火)@恵比寿ガーデンシネマ
お気が向かれたら →

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パンズ・ラビリンス:或る日の出来事さま
パンズ・ラビリンス:レザボアCATsさま
パンズ・ラビリンス―現実と 幻想は 手に手を取って:Lost in Australiaさま
↓参考↓
パンズ・ラビリンス@映画生活
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"EL LABERINTO DEL FAUNO"
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監督・製作・脚本:ギレルモ・デル・トロ
製作:アルフォンソ・キュアロン フリーダ・トレスブランコ 他
製作総指揮:ベレン・アティエンサ エレナ・マンリケ
撮影:ギレルモ・ナヴァロ
編集:ベルナ・ビラプラーナ
音楽:ハビエル・ナバレテ
出演:イバナ・バケロ セルジ・ロペス マリベル・ベルドゥ
ダグ・ジョーンズ アリアドナ・ヒル 他
1944年・スペイン―母親のカルメン(アリアドナ・ヒル)がビダル大尉(セルジ・ロペス)と再婚したことにより、オフェリア(イバナ・バケロ)は母について山間部の家にやって来た。フランコ政権に抵抗するゲリラを、ビダルはこの地で鎮圧しようとしているのだ。冷酷非情で残忍なビダルは、オフェリアにとって恐怖と憎しみの対象でしかない。あるとき、オフェリアは妖精のあとを追って不思議な場所に迷い込む。そこは牧神パン(ダグ・ジョーンズ)の迷宮で、彼によると、魔法の国に住んでいた姫君の生まれ変わりがオフェリアだというのだ。彼女がその国へ戻るためには、3つの厳しい試練をクリアしなければならない。オフェリアは試練に挑む決意を固めるが……。
昔、『FINAL FANTASY VII』っていうRPGがあって、私が一番好きなゲームなんだけど、それに「イン&ヤン」っていうモンスターが出てきた。毛のない皮膚(多分)に覆われた人系モンスターで、地下室に住んでて、「でろーん、れろーん」っていう妙な動きをして、おまけにやたらと強かったんだよね。こいつに遭うとちょっとやばいぞ、って感じの。だけど、そのキワモノっぷりが印象に残って、最後には結構執着してた(早い話が、好きだった)。で、『パンズ・ラビリンス』に、目が取り出し自由(?)の毛なし系ヒト形クリーチャー(ペイルマンというらしい)が登場するんだけど、こいつが! イン&ヤンにそっくり!! 動きなんか特に!! 住んでる場所も、いかにもああいうところっぽい!! ……もう感動しちゃってねぇ、私は。「イン&ヤンが実写(?)になったら絶対こんな感じだよ!!」と胸中で大興奮。あぁ、あのクリーチャーをもっと長く見ていたかった……。
だからというわけでもないけれど、『パンズ・ラビリンス』はダーク・ファンタジー系のゲームをプレイしているような感覚で観ていた。現実世界での境遇に恵まれていないプレイヤー・キャラの少女がいて、世の中も平和からほど遠くて、「思想」や「軍」が人々の自由を奪って恐怖を煽っていて、残虐非道の悪い親玉がいて、主人公に試練を課す迷宮(=ダンジョン)があって、という。ゲームやグロ系のアニメによく見られる設定で、この映画がゲームになったら結構面白いんじゃないだろうか、と思ったくらい。
実は、ものすごく期待して観に行った(そのわりには、映画館へ足を運ぶまでが遅かったけど)。第79回アカデミー賞の中継でこの作品の映像に初めて触れたときから「絶対観たい!」と気になっていて(オスカーでは撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞)、今年の各種ムービー・ランキングでは絶対上位に来そうな高評価を集めまくっていて、現に、上映館でもロング・ヒット中。「今までに体験したことがない吃驚仰天の作品世界を見せてもらえるに違いない!」と、空恐ろしさすらいだいてわくわくとスクリーンの前に座った。
しかし、いざ蓋をあけてみたら、私のようなヲタクには身近なゲーム・アニメ・漫画等でよく見かけるたぐいのストーリィでありキャラクターでありモチーフ。充分に興味深くて質の高い映画ではあったのだけれど、一番感じたかった「新鮮味」を全然味わえなかったので、拍子抜けの感が強かった。でも、これは観るに際する私の姿勢の問題。予備知識なしで、別段期待もせず観に行っていたら、それなりに衝撃を受けていろいろ褒めていたかもしれない。
どうにもテンションがあがらないのは、まあ、映画におけるファンタジーというジャンルにもともと大して執着がないせいもあるのかもしれない。……こんなまわりくどい言いかたになってしまうのは、これほど高い評価が目立ちまくりの作品に対して「ふーん」程度の感慨しか持てなかった自分に、些か危機感を覚えてしまっているせいかも。大絶賛が飛び交う『ヘアスプレー』に嫌悪感しかいだけなかったときの、「あ、私の感覚、もしかしてやばい?」っていう疎外感再び、ってところ。
とはいえ、繰り返しになるが、今作がつまらなかったわけではない。おどろおどろしかったり絢爛豪華だったりする迷宮の映像は一見の価値があり、ディテールの凝った特殊効果は拍手に値する。また、陰惨ながらも現実的な圧政への抵抗という実情と、神話の世界から抜け出てきたかのような鉄壁のファンタジー世界を融合させた構成力の妙は抜群。残虐で目を背けたくなる拷問のシーン等があって心に重さを残すが、人権や争い、自由や命、意志等について真剣に考えるためのきっかけを与えてくれるような意味が感じられ、無駄なシーンはひとつとしてなかったように思う。加えて、気味の悪さと美しさが紙一重の音楽も秀逸。
ラストの解釈にはさまざまな意見があるようだが、私はあれもひとつのハッピー・エンドだと捉えた。あと味は決して悪くない。それどころか、個人的な余韻には希望の味わいがあった。
あんなに不気味な迷宮をオフェリアがなにがなんでもクリアしようとする気持ちは、哀しくて痛々しいが理解には難くない。憎悪すべき冷酷なビダルへの恐怖と背中合わせで暮らすくらいなら、命を賭して迷宮に挑んだほうがまだ救いがあったのだ。オフェリアがそう具体的に分析・判断していたとは思えないが、現実世界の実情に絶望した彼女の本能がそれを悟ったのだろう。そう思うと、この映画の"だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した。"というキャッチ・コピーは言い得て妙だったと感心する。
オフェリアを演じたのは、1994年生まれのイバナ・バケロ。彼女、脚がものすごく綺麗だった。脚をさらすシーンなんてあまりないのだけれど、衣装の隙間からほんの一瞬のぞく腿やふくらはぎの美しいことといったら。この歳にして既に色香を漂わせる眼差しをしてもいて、今後が楽しみな女優さんだ。
ちなみに、牧神パンもイン&ヤンもどきのペイルマンも『ファンタスティック・フォー/銀河の危機』のシルバーサーファーも、演じたのはダグ・ジョーンズという人。すごいなぁ。パントマイムがお得意というこの俳優さんの素顔、私はまだ見たことがないよ。
観た日:2007年11月13日(火)@恵比寿ガーデンシネマ
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パンズ・ラビリンス:或る日の出来事さま
パンズ・ラビリンス:レザボアCATsさま
パンズ・ラビリンス―現実と 幻想は 手に手を取って:Lost in Australiaさま
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