『キングダム/見えざる敵』を観たよ。
2007-10-02(Tue)
ご都合主義なのは仕方ないとしても、「アメリカにだけ都合がよい」っていうのは、不快だよ。
『キングダム/見えざる敵』
"THE KINGDOM"
2007年・アメリカ・110分
監督:ピーター・バーグ
製作:マイケル・マン スコット・ステューバー
製作総指揮:サラ・オーブリー メアリー・ペアレント 他
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
撮影:マウロ・フィオーレ
編集:コルビー・パーカー・Jr. ケヴィン・スティット
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ジェイミー・フォックス クリス・クーパー ジェニファー・ガーナー
ジェイソン・ベイトマン アシュラフ・バルフム アリ・スリマン 他
サウジアラビアの外国人居住区で無差別自爆テロがあり、子供を含む多くの死傷者が出た。犠牲者の中にはFBI捜査官も含まれており、彼の友人だった同じFBI捜査官のフルーリー(ジェイミー・フォックス)は、事件解決のために、現地での捜査を希望する。かくして、フルーリーは3人の仲間 ― 爆発物専門のサイクス(クリス・クーパー)、法医学の専門家・メイズ(ジェニファー・ガーナー)、情報分析官のレビット(ジェイソン・ベイトマン) ― と共にサウジアラビアへ赴くが……。
真面目な映画なのだろうとは思う。9.11以降のアメリカ人の心情を、アルカイダと絡ませて的確に表現しているのだと感じられ、「FBI捜査官が他国で自ら武器を持って戦う」という突拍子もない設定にもかかわらず、妙に説得力が生まれていて、辻褄も合っている。脚本と構成が緻密で巧いのだ。
しかし、過剰なほど人が死にすぎる。それも、大勢を簡単に殺しすぎ。まるで、的や人形ででもあるかのごとく。ゲームの『バイオハザード』でゾンビを殺しているみたいな勢いで、「人間」を次から次へと殺していくんだよ。そのくせ、「正義の味方のアメリカ人」は、絶対に死なない。たいした怪我すらしない。「おいおい、ちょっと待てよ」と呆れるね。「アメリカこそ正義、アメリカ人は偉大、アメリカ万歳」っていう映画の作りかた、今に始まったことじゃないけど、アメリカの悪い癖というか、他国人の目から見たら、失笑の対象だよ。
「復讐目的の人殺し」を肯定するかのような台詞が、たびたび見られる。逆接の意味で象徴的に使用しているのだと思う(思いたい)が、ひねりもなく単純に使いすぎているので、字面通りの意味に捉えられても無理はない。眉をひそめざるをえない。
ただ、理性的な目で見れば、「悪趣味な映画」にはぎりぎりの部分で成り下がってなく、繰り返しになるけれど、真面目で硬派の作品なのだろうと思う。だが、主人公たちの感覚や思想が、過剰なまでに攻撃的。こういう考えかたもあるだろう。こういう映画があってもよいだろう。しかし、この作品は感覚的に危険すぎるから、もしも私が子を持つ親だったら、我が子には決して見せたくないと心に誓うはず。分別のない人がこういう映画を観てしまったら、と想像すると、思わず背筋が寒くなる。正直なところ、ジェイミー・フォックスやクリス・クーパーが、なぜこの作品への出演を承諾したのか、理解に苦しむ。はっきり言って、ショックだ。好もしく感じていた俳優さんだったから。
音楽がダニー・エルフマンである。すごく意外。ダニー・エルフマンというと、ハート・ウォーミングだったり、ファンタジックだったり、ユーモラスだったり、という作品の音楽を手がける、というイメージが強かったから。
「監督のピーター・バーグ、どっかで聞いたことあるなぁ」と思ったら、『プライド/栄光への絆』を撮った監督さんだった。あの映画も、硬派で暗かったよなぁ……。
試写日:2007年9月25日(火)@日本教育会館・一ツ橋ホール
お気が向かれたら →

↓参考↓
キングダム 見えざる敵@映画生活
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『キングダム/見えざる敵』
"THE KINGDOM"
2007年・アメリカ・110分
監督:ピーター・バーグ
製作:マイケル・マン スコット・ステューバー
製作総指揮:サラ・オーブリー メアリー・ペアレント 他
脚本:マシュー・マイケル・カーナハン
撮影:マウロ・フィオーレ
編集:コルビー・パーカー・Jr. ケヴィン・スティット
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ジェイミー・フォックス クリス・クーパー ジェニファー・ガーナー
ジェイソン・ベイトマン アシュラフ・バルフム アリ・スリマン 他
サウジアラビアの外国人居住区で無差別自爆テロがあり、子供を含む多くの死傷者が出た。犠牲者の中にはFBI捜査官も含まれており、彼の友人だった同じFBI捜査官のフルーリー(ジェイミー・フォックス)は、事件解決のために、現地での捜査を希望する。かくして、フルーリーは3人の仲間 ― 爆発物専門のサイクス(クリス・クーパー)、法医学の専門家・メイズ(ジェニファー・ガーナー)、情報分析官のレビット(ジェイソン・ベイトマン) ― と共にサウジアラビアへ赴くが……。
真面目な映画なのだろうとは思う。9.11以降のアメリカ人の心情を、アルカイダと絡ませて的確に表現しているのだと感じられ、「FBI捜査官が他国で自ら武器を持って戦う」という突拍子もない設定にもかかわらず、妙に説得力が生まれていて、辻褄も合っている。脚本と構成が緻密で巧いのだ。
しかし、過剰なほど人が死にすぎる。それも、大勢を簡単に殺しすぎ。まるで、的や人形ででもあるかのごとく。ゲームの『バイオハザード』でゾンビを殺しているみたいな勢いで、「人間」を次から次へと殺していくんだよ。そのくせ、「正義の味方のアメリカ人」は、絶対に死なない。たいした怪我すらしない。「おいおい、ちょっと待てよ」と呆れるね。「アメリカこそ正義、アメリカ人は偉大、アメリカ万歳」っていう映画の作りかた、今に始まったことじゃないけど、アメリカの悪い癖というか、他国人の目から見たら、失笑の対象だよ。
「復讐目的の人殺し」を肯定するかのような台詞が、たびたび見られる。逆接の意味で象徴的に使用しているのだと思う(思いたい)が、ひねりもなく単純に使いすぎているので、字面通りの意味に捉えられても無理はない。眉をひそめざるをえない。
ただ、理性的な目で見れば、「悪趣味な映画」にはぎりぎりの部分で成り下がってなく、繰り返しになるけれど、真面目で硬派の作品なのだろうと思う。だが、主人公たちの感覚や思想が、過剰なまでに攻撃的。こういう考えかたもあるだろう。こういう映画があってもよいだろう。しかし、この作品は感覚的に危険すぎるから、もしも私が子を持つ親だったら、我が子には決して見せたくないと心に誓うはず。分別のない人がこういう映画を観てしまったら、と想像すると、思わず背筋が寒くなる。正直なところ、ジェイミー・フォックスやクリス・クーパーが、なぜこの作品への出演を承諾したのか、理解に苦しむ。はっきり言って、ショックだ。好もしく感じていた俳優さんだったから。
音楽がダニー・エルフマンである。すごく意外。ダニー・エルフマンというと、ハート・ウォーミングだったり、ファンタジックだったり、ユーモラスだったり、という作品の音楽を手がける、というイメージが強かったから。
「監督のピーター・バーグ、どっかで聞いたことあるなぁ」と思ったら、『プライド/栄光への絆』を撮った監督さんだった。あの映画も、硬派で暗かったよなぁ……。
試写日:2007年9月25日(火)@日本教育会館・一ツ橋ホール
お気が向かれたら →
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