『飛ぶのがフライ』を読んだよ。
『飛ぶのがフライ』
"FEAR OF FRYING"
作:ジル・チャーチル
訳:浅羽莢子
発行:創元推理文庫
「主婦探偵ジェーン・ジェフリィ」シリーズの9作目。ジル・チャーチルの軽妙なドメスティック・ミステリ・シリーズだ。主婦と言っても、ジェーンはシングル・マザー。近年、「グレイス&フェイヴァー」シリーズの邦訳ばかりが目立っていたチャーチルだが、久々のジェーン・シリーズの邦訳で、小躍りしたいくらい嬉しかった。グレイス&フェイヴァーも好きだけれど、ジェーンとその仲間たちのほうが、もっと好き。
で、待ちに待った第9弾だったのだが、……すごく残念。私には、あまり面白くなかった。
今作の舞台は、ジェーンのいつもの地元ではなく、隣の州のキャンプ場。ジェーンはママ仲間で親友のシェリィと共に、旅行気分でサマー・キャンプの下見に訪れている。もちろん、その旅先で殺人事件が起こってジェーンが解決するのだけれど、被害者と容疑者のバック・グラウンドや殺人のトリックがあっさりとしすぎていて、事件解決までの過程もあっという間に感じた。いくらライトなドメスティックでも、もう少し読み応えがほしかった。過去の作品群のように。
旅先が舞台ということで、ジェーンの恋人・ヴァンダイン刑事の出番がほとんどなかったのも、不満ポイントのひとつ。
ところで、今作を訳された翻訳家の浅羽莢子さんが、2006年に逝去された。今作は浅羽さんの最後の訳書だったそうである。ジル・チャーチルを初め、ドロシー・L・セイヤーズ、シャーロット・マクラウド、マクラウドの別名義アリサ・クレイグ……、そのほかにも、たくさんの英米ミステリが、浅羽さんの邦訳で紹介されている。私が初めて浅羽さんの邦訳を読ませていただいたのは、マクラウドの『納骨堂の奥に』だった。どの邦訳もとても読みやすくて、浅羽さんの訳文のおかげで、たくさんの海外ミステリを大好きになった。とても悲しい訃報だった……。今更ですが、ご冥福をお祈り致します。
テーマ : 推理小説・ミステリー - ジャンル : 本・雑誌











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