ごはんの支度をしながら、気の合う映画を想うのが好き。字書き屋・香ん乃がお贈りする、インフォメーション・シネマ感想文・雑記など。
2006/05/10 02:34 『RENT/レント』を観たよ。
ときどき、本当にときどき、好みとか理屈とかを踏み倒して、「感動」だけで貫いてくる映画に出逢うことがある。この作品も、そんな1本。
『RENT/レント』
原題:"RENT"
参考:レント@映画生活 RENT レント-FLiXムービーサイト
2005年・アメリカ・135分
監督・製作:クリス・コロンバス
製作:ジェーン・ローゼンタール ロバート・デ・ニーロ 他
製作総指揮:ケヴィン・マックコラム ラタ・ライアン
原作・作詞作曲:ジョナサン・ラーソン
脚本:スティーヴン・チョボスキー
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
振付:キース・ヤング
出演:ロザリオ・ドーソン アダム・パスカル アンソニー・ラップ
ジェシー・L・マーティン ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア
トレイシー・トムズ イディナ・メンゼル テイ・ディグス 他
1989年の、ニューヨークはイースト・ヴィレッジ ― そこに住むのは家賃(RENT)すら払えない貧しい若者たちだけれど、彼らは夢をいだいている。たとえ、同性愛、ドラッグ、そして、エイズ、そういったさまざまな問題に直面していようとも。マーク(アンソニー・ラップ)は、ドキュメンタリー映画を撮っている。弁護士のジョアンヌ(トレイシー・トムズ)は、マークの元彼女でもある奔放なモーリーン(イディナ・メンゼル)と恋に落ちた。トム(ジェシー・L・マーティン)は、それこそ天使のようなドラッグ・クィーンのエンジェル(ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア)と運命的な出逢いを果たす。マークの親友でミュージシャンのロジャー(アダム・パスカル)は、死んだ恋人を忘れられないけれど、ダンサーのミミ(ロザリオ・ドーソン)に心のドアをノックされて……。
↑の登場人物は、「共感した順」に並べてみた。だいたい、だけど。
今更だが、私はミュージカル映画との相性があまりよくない。それなのになぜ、この作品をわざわざ映画館へ観に行ったのかというと、「ニューヨークの『イースト・ヴィレッジ』が舞台だったから」。自分がミーハーなニューヨークかぶれだとは、このブログでももう何度もしゃべってきている。マンハッタンを訪れた際、私はそれこそミーハーそのものに、ミッドタウンではテンションを巻きあげて騒ぎ、アップタウンでは目を輝かし、ダウンタウンではさまざまな映画や小説を思い浮かべた。ただ、そのダウンタウンの、イースト・ヴィレッジ地区に赴いたときだけ、ふわん、と不思議な想いを唐突に感じたのだ。
「ここになら、暮らしてもいいな」って。
「住んでもいい」ではないのだ。「暮らしてもいい」、そう思った。同じダウンタウンのほかの地区には、そういう欲求を別にいだかなかったのに、イースト・ヴィレッジにだけは「とどまりたい」と思った。「離れたくない」と思った。「暮らしたい」と、自然に、直球に、そう思った。
どうしてなのかはわからないし、実際には、アメリカに暮らすための努力も行動も起こすつもりは微塵もないのだけれど、……あの旅行以来、イースト・ヴィレッジという土地にだけは、特別な憧憬を覚え続けている。
で、そのイースト・ヴィレッジを舞台にしたブロードウェイ・ミュージカルがあるという。プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースにしたその舞台はタイトルを『RENT』といい、作詞作曲を手がけたジョナサン・ラーソンは、初演の直前に35歳という若さで急逝した。……そのミュージカルを、クリス・コロンバスが映画化したのが、今回観た作品。「イースト・ヴィレッジ」が舞台でなかったら、おそらく、興味すら覚えなかったと思う。
……2006年ももうすぐ半分になろうとしている現在、今年観た映画の中で、今のところのベスト・ワンが、この『RENT/レント』だ。……自分でも、意外でたまらないのだけれど。
なんだか、めちゃめちゃ感動してしまった。後半なんか、もう、泣きっぱなし。ミュージカルが苦手な私なのに。この作品、どこからどう見ようが、がっちがちのミュージカルなのに。
……あとになった今、冷静に考えてみると、やっぱり、「イースト・ヴィレッジ」っていう自分にとっての特別性が大きかったんだと思う。加えて、起承転結のテンポのよさと、音楽の質のよさに、ダイレクトにやられてしまった。今にして思えば、いかにも私が好きそうなストーリィでもあったわけだし。青春モノで、テーマのひとつに同性愛があって、スウィートすぎないけれど味わい深くて希望のあるラストが待っている、っていう。
【或る日の出来事】内「レント」でボー・BJ・ジングルズさんも書かれていらっしゃるが、この映画のメイン・ソングでもある"Seasons Of Love"、よい意味で耳に残る。今も、頭の中でがんがんに流れている。そして、この曲を思い出すだけで、涙がにじんできそうになっちゃう。
……いつもみたいに、もっともぶって感想文をこしらえたり、分析したりすることが、全然できないのだ。単純にどっかーんと真っ向から、ただただ感動しちゃったものだから。
メイン・キャラクターを演じた役者たち、ミュージカルなのだから歌は巧くてあたりまえだが、それに加えて、身体能力のよさがものすごい。彼らのなめらかでダイナミックな動作が、この映画のエンターテインメント性をアップさせていると思う。既にとても有名な映画俳優から、映画的には今まで脇役ばかりだった役者まで、さまざまな顔ぶれ(というと語弊があるかな。どうやら、ミュージカル初演時のオリジナル・キャストのほとんどが映画にも顔を揃えた、ということだったらしいから)。このキャスティングは大当たりだったと思う。『アリー・myラブ』に出演していたジェシー・L・マーティンとテイ・ディグスがいて驚いた。トレイシー・トムズの、のびやかな歌唱力と視線の演技の巧みさにも驚いた。
『チェルシーホテル』と『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』という、タイトルからも歴然のニューヨークを舞台にした映画があるのだが(前者は苦手。後者は大好き)、ロザリオ・ドーソンという女優を、私はこの2作品で知っていた。そして、今回『RENT/レント』で彼女を観たわけだが、なんだかもうすっかり「ニューヨークを体現する女優」という印象になってしまったわ。ロザリオ本人も、生粋のニューヨーカーであるという。
『ハリー・ポッター』シリーズを未見の私にとっては、クリス・コロンバスって、『グッドナイト・ムーン』(まあまあ好き。そういえば、これもニューヨークが舞台の映画だよな)や『ミセス・ダウト』の監督さんだったのだけど、……『ハリー・ポッター』、ちょっと観たくなったな。コロンバス監督のエンタメ力に、俄然興味が湧いちゃったから。
……映画館でのこと。私が座ったのと同じ座席列に、高校生の女の子たちが連れ立って来ていた。私が泣いてしまったのと同じシーンで、その子たちが涙を流していた。……どうしてか、無性に嬉しかった。いや……、どうしてなのか百も承知だからこそ、……私は嬉しくてたまらなかったのかもしれない。
観た日:2006年5月8日(月)@bunkamuraル・シネマ1
『RENT/レント』
原題:"RENT"
参考:レント@映画生活 RENT レント-FLiXムービーサイト
2005年・アメリカ・135分
監督・製作:クリス・コロンバス
製作:ジェーン・ローゼンタール ロバート・デ・ニーロ 他
製作総指揮:ケヴィン・マックコラム ラタ・ライアン
原作・作詞作曲:ジョナサン・ラーソン
脚本:スティーヴン・チョボスキー
撮影:スティーヴン・ゴールドブラット
振付:キース・ヤング
出演:ロザリオ・ドーソン アダム・パスカル アンソニー・ラップ
ジェシー・L・マーティン ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア
トレイシー・トムズ イディナ・メンゼル テイ・ディグス 他
1989年の、ニューヨークはイースト・ヴィレッジ ― そこに住むのは家賃(RENT)すら払えない貧しい若者たちだけれど、彼らは夢をいだいている。たとえ、同性愛、ドラッグ、そして、エイズ、そういったさまざまな問題に直面していようとも。マーク(アンソニー・ラップ)は、ドキュメンタリー映画を撮っている。弁護士のジョアンヌ(トレイシー・トムズ)は、マークの元彼女でもある奔放なモーリーン(イディナ・メンゼル)と恋に落ちた。トム(ジェシー・L・マーティン)は、それこそ天使のようなドラッグ・クィーンのエンジェル(ウィルソン・ジェレマイン・ヘレディア)と運命的な出逢いを果たす。マークの親友でミュージシャンのロジャー(アダム・パスカル)は、死んだ恋人を忘れられないけれど、ダンサーのミミ(ロザリオ・ドーソン)に心のドアをノックされて……。
↑の登場人物は、「共感した順」に並べてみた。だいたい、だけど。
今更だが、私はミュージカル映画との相性があまりよくない。それなのになぜ、この作品をわざわざ映画館へ観に行ったのかというと、「ニューヨークの『イースト・ヴィレッジ』が舞台だったから」。自分がミーハーなニューヨークかぶれだとは、このブログでももう何度もしゃべってきている。マンハッタンを訪れた際、私はそれこそミーハーそのものに、ミッドタウンではテンションを巻きあげて騒ぎ、アップタウンでは目を輝かし、ダウンタウンではさまざまな映画や小説を思い浮かべた。ただ、そのダウンタウンの、イースト・ヴィレッジ地区に赴いたときだけ、ふわん、と不思議な想いを唐突に感じたのだ。
「ここになら、暮らしてもいいな」って。
「住んでもいい」ではないのだ。「暮らしてもいい」、そう思った。同じダウンタウンのほかの地区には、そういう欲求を別にいだかなかったのに、イースト・ヴィレッジにだけは「とどまりたい」と思った。「離れたくない」と思った。「暮らしたい」と、自然に、直球に、そう思った。
どうしてなのかはわからないし、実際には、アメリカに暮らすための努力も行動も起こすつもりは微塵もないのだけれど、……あの旅行以来、イースト・ヴィレッジという土地にだけは、特別な憧憬を覚え続けている。
で、そのイースト・ヴィレッジを舞台にしたブロードウェイ・ミュージカルがあるという。プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』をベースにしたその舞台はタイトルを『RENT』といい、作詞作曲を手がけたジョナサン・ラーソンは、初演の直前に35歳という若さで急逝した。……そのミュージカルを、クリス・コロンバスが映画化したのが、今回観た作品。「イースト・ヴィレッジ」が舞台でなかったら、おそらく、興味すら覚えなかったと思う。
……2006年ももうすぐ半分になろうとしている現在、今年観た映画の中で、今のところのベスト・ワンが、この『RENT/レント』だ。……自分でも、意外でたまらないのだけれど。
なんだか、めちゃめちゃ感動してしまった。後半なんか、もう、泣きっぱなし。ミュージカルが苦手な私なのに。この作品、どこからどう見ようが、がっちがちのミュージカルなのに。
……あとになった今、冷静に考えてみると、やっぱり、「イースト・ヴィレッジ」っていう自分にとっての特別性が大きかったんだと思う。加えて、起承転結のテンポのよさと、音楽の質のよさに、ダイレクトにやられてしまった。今にして思えば、いかにも私が好きそうなストーリィでもあったわけだし。青春モノで、テーマのひとつに同性愛があって、スウィートすぎないけれど味わい深くて希望のあるラストが待っている、っていう。
【或る日の出来事】内「レント」でボー・BJ・ジングルズさんも書かれていらっしゃるが、この映画のメイン・ソングでもある"Seasons Of Love"、よい意味で耳に残る。今も、頭の中でがんがんに流れている。そして、この曲を思い出すだけで、涙がにじんできそうになっちゃう。
……いつもみたいに、もっともぶって感想文をこしらえたり、分析したりすることが、全然できないのだ。単純にどっかーんと真っ向から、ただただ感動しちゃったものだから。
メイン・キャラクターを演じた役者たち、ミュージカルなのだから歌は巧くてあたりまえだが、それに加えて、身体能力のよさがものすごい。彼らのなめらかでダイナミックな動作が、この映画のエンターテインメント性をアップさせていると思う。既にとても有名な映画俳優から、映画的には今まで脇役ばかりだった役者まで、さまざまな顔ぶれ(というと語弊があるかな。どうやら、ミュージカル初演時のオリジナル・キャストのほとんどが映画にも顔を揃えた、ということだったらしいから)。このキャスティングは大当たりだったと思う。『アリー・myラブ』に出演していたジェシー・L・マーティンとテイ・ディグスがいて驚いた。トレイシー・トムズの、のびやかな歌唱力と視線の演技の巧みさにも驚いた。
『チェルシーホテル』と『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』という、タイトルからも歴然のニューヨークを舞台にした映画があるのだが(前者は苦手。後者は大好き)、ロザリオ・ドーソンという女優を、私はこの2作品で知っていた。そして、今回『RENT/レント』で彼女を観たわけだが、なんだかもうすっかり「ニューヨークを体現する女優」という印象になってしまったわ。ロザリオ本人も、生粋のニューヨーカーであるという。
『ハリー・ポッター』シリーズを未見の私にとっては、クリス・コロンバスって、『グッドナイト・ムーン』(まあまあ好き。そういえば、これもニューヨークが舞台の映画だよな)や『ミセス・ダウト』の監督さんだったのだけど、……『ハリー・ポッター』、ちょっと観たくなったな。コロンバス監督のエンタメ力に、俄然興味が湧いちゃったから。
……映画館でのこと。私が座ったのと同じ座席列に、高校生の女の子たちが連れ立って来ていた。私が泣いてしまったのと同じシーンで、その子たちが涙を流していた。……どうしてか、無性に嬉しかった。いや……、どうしてなのか百も承知だからこそ、……私は嬉しくてたまらなかったのかもしれない。
観た日:2006年5月8日(月)@bunkamuraル・シネマ1
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