ごはんの支度をしながら、気の合う映画を想うのが好き。字書き屋・香ん乃がお贈りする、インフォメーション・シネマ感想文・雑記など。 
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2006/05/07 01:39    『愛より強く』を観たよ。
 惜しい。後半、失速。

『愛より強く』
原題:"GEGEN DIE WAND"
英題:"HEAD-ON"
参考:愛より強く@映画生活 愛より強く-FLiXムービーサイト
2004年・ドイツ/トルコ・121分
監督・脚本:ファティ・アキン
製作:ラルフ・シュヴィンゲル シュテファン・シューバート
撮影:ライナー・クラウスマン
出演:ビロル・ユーネル シベル・ケキリ メルテム・クンブル
   カトリン・シュトリーベック グヴェン・キラック 他

 同じトルコ系ドイツ人のその男女は、精神科病棟で出逢った。人生に絶望して酒に溺れるジャイト(ビロル・ユーネル)と、厳格なイスラム教徒の家族から逃げ出したいあまりに自殺未遂をしたシベル(シベル・ケキリ)だ。実家から離れたくてたまらないシベルは、偽装結婚をしてほしいとジャイトに願い出る。彼女に同情したジャイトはその申し出を受け入れ、愛のないはずの結婚生活が始まった。しかし、シベルと暮らすにつれて、ジャイトは彼女を本当に慕うようになっていく。だが、やっと自由を手に入れたシベルは、奔放な男遊びに余念がなくて……。

『RENT』を観よう、と前売券を握りしめて渋谷のBunkamuraル・シネマへ行ったら、満席ではいれなかったので、急遽、シアターN渋谷へ。2004年・ベルリン国際映画祭での金熊賞受賞作品『愛より強く』も、気になっていた作品ではあったから。前売券は買っていなかったけど。

 誰かを愛するって、愚かで滑稽。愛すれば愛するほど、愚考と愚行に拍車がかかる。……だけど、それこそ恋愛だ、と再認識させられずにはいられない、そんな作品。ジャイトはシベルに絆されていくけれど、当のジャイト以外の誰もが、「それはやばいよ。やめておけよ」と思っている。実際に助言する者もいる。でも、ジャイトがシベルにいだく想いと執着と夢はふくらむばかり。シベルもシベルで、「若さは馬鹿さ」を地でいっているものだから、彼女の言動に呆れてしまうけれど、どこか憎めない。ふたりの関係は、とても危なっかしくて、とても単純で、とてももの悲しくて、とてもせつなくて、とても凶暴。だけど、恋愛に堕ちたことのある人ならわかるはず。「愛って、そういうもんだよね」と。

 ジャイトを演じるビロル・ユーネルの目がよい。冴えないおじさん(失礼)なのに、少年のような瞳の澄みかた。恋に囚われた目・シベルしか見えていない目をしている。ジャイトがどれだけシベルに純粋に堕ちてしまったか、彼の瞳にすべて表れている。

 シベルを演じたシベル・ケキリは、本作が映画初出演だという。肌の綺麗さが印象的だった。シベルに対するジャイトの想いが強まっていくにつれ、彼女の美しさや愛らしさが輝いて見えてくるから不思議だ。

 ストーリィも、雰囲気も、空気感も、かなり気に入った作品である。ただ、映画の後半で舞台がドイツからトルコのイスタンブールへ移るのだが、イスタンブール編(という形容は正しくないかもしれないけれど)になると、テンポがいきなり崩れるのだ。流れが遅くなる。イスタンブールでの展開や、そこから導かれるラストには、「まあ、そうなるしかないよな」と納得はできるのだけれど、あの失速は惜しかった。「物語を丁寧に描いた」と言えなくもないが、前半がジェット・コースター的であっただけに、バランスが悪いように私には感じられてしまったのだ。

 とはいえ、がっつりとパンチの利いた恋愛映画で、個性も灰汁も強い。ラヴ・ストーリィ好きとしては、ファティ・アキン監督(1973年生まれだそうだ。ああ、私より2歳しか年上じゃないんだ……)の名前は今後も憶えておきたいな、と思った。

観た日:2006年5月6日(土)@シアターN渋谷・シアター2
〔お昼ごはん〕
★フレッシュ・トマトとモッツァレラ・チーズのフェデリーニ
★めかぶと納豆のオムレツ
★インスタントの海草スープ


 久しぶりのごはん日記というか、料理をすること自体が久しぶりかもしれない(たいした料理じゃないけどさ)。原稿中はほぼ毎食テイク・アウトで生きていたし、GWはお外でごはんが続いたし。

 パスタっぽいパスタが食べたくて、トマトとモッツァレラ。とはいえ、トマト・ソースをつくるのは面倒だったから、生トマト。輪切り唐辛子とオリーヴ・オイルを熱したフライパンに、薄切りのたまねぎとざく切りのトマトを時間差で加えて炒めて、日本酒・鶏がらスープの素・塩・黒胡椒で調味。茹であがったフェデリーニを投入して、もう少しだけ炒めたら、火からおろしぎわにモッツァレラ・チーズのさいの目切りを加えて、お菜箸でちょっとぐるぐるしてできあがり。……書いていて気づいた。ドライ・ハーブいれるの、忘れちゃった。


〔夜ごはん〕
★おにぎり(梅干し・海苔の佃煮)
★豆腐の野菜甘酢あんかけ


『かもめ食堂』を観ていたら、「しばらく白米食べてないなぁ。おにぎり、握ってないなぁ」と気づき、以来、頭の中が白いごはんのおにぎり一色になってしまった。そんなわけで、久々に白米オンリーのごはんを炊き(うちの普段ごはんは玄米+黒米)、海苔で巻いたごくごくスタンダードなおにぎりを握ってみた。具は梅干しと海苔の佃煮で、それぞれ1個ずつ。……握っていて、今更ながらに顔面蒼白。やっぱり、おにぎりってごはんの量が多いよね。1個がだいたいお茶碗1膳分のわけだから、2個食べたら2膳分じゃんよ(動揺のあまり、文章がくどい)。そうだ、だから、私、おにぎりってつくらないようになったんじゃん。お茶碗に軽くよそった玄米ごはんしか食べないようになったんじゃん。

 ……しかし、久々に食べた白いごはんのおにぎりは、めちゃめちゃ美味しかった。梅干しと佃煮なんて、特別好きな具でもないはずなのに(今日はたまたま、おにぎりの具になりそうなものが、この2種類しか冷蔵庫になかっただけ)。

『かもめ食堂』に、「おにぎりは人に握ってもらったほうが美味しい」っていう台詞があったんだけど、私はそうは思わない。自分で握ったおにぎりが一番美味しいと思う。ただ、おにぎりをこしらえるたびに、不思議だなぁ、と実感することがある。子供のときに母親が握ってくれたおにぎりと、おとなになった私が握るおにぎりは、塩加減、大きさ、具の量、海苔の巻きかた、どれを取ってもまったく違うのに、自分でおにぎりをつくって食べると必ず、「お母さんのと同じ味がする……」と思うのだ。特に感傷的な気分になってそう思うわけではなくて、どちらかというと、怪訝な気持ちになるのだけれど。食のすり込みや、幼い頃の食生活から無意識に受け継いでいる匙加減って、あたりまえと言えばそうだけど、影響強いのかもね。