ごはんの支度をしながら、気の合う映画を想うのが好き。字書き屋・香ん乃がお贈りする、インフォメーション・シネマ感想文・雑記など。 
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2006/02/12 16:13    『シリアナ』を観たよ。
 この作品でCIA工作員役を演じるにあたって、13kg増量したというジョージ・クルーニー。確かに太ってた。で、ゴールデン・グローブ賞の助演男優賞を同役で受賞したわけだけど、授与式では(いや、そのずっと以前からなんだろうとは思うけど)すっきり元通りに痩せていた。さすが。

『シリアナ』
原題:"SYRIANA"
参考:シリアナ@映画生活
2005年・アメリカ・128分
監督・脚本:スティーヴン・ギャガン
製作・主演:ジョージ・クルーニー
製作:スティーヴン・ソダーバーグ マイケル・ノジック ジェフ・スコール
製作総指揮:ベン・コスグローヴ ジェニファー・フォックス 他
原作:ロバート・ベア
撮影:ロバート・エルスウィット
音楽:アレクサンドル・デプラ
出演:マット・デイモン ジェフリー・ライト クリス・クーパー
   アマンダ・ピート ウィリアム・ハート クリストファー・プラマー
   マザール・ムニール アレクサンダー・シディグ 他

 中東のとある国の王位継承者を暗殺するよう指令を受けたCIA工作員(ジョージ・クルーニー)、米国の巨大石油会社の弁護士を務めている一見昼行灯の弁護士(ジェフリー・ライト)、アラブ某国を顧客とすることになったスイス在住のエネルギー・アナリスト(マット・デイモン)、石油採掘に従事していたが突然解雇された貧しい労働者のパキスタン人(マザール・ムニール) ― 職業も、住む場所も、生きかたもまったく異なる彼らの行動が交わるとき、国家レベルのタブーと陰謀が陽にさらされることになる。

「シリアナ」っていう言葉は、イラン・イラク・シリアがひとつの国家となる場合を想定した、米国の中東再建に関するコンセプトを説明する専門用語のこと、……らしい。ワシントンD.C.のシンクタンクで実際に使われている言葉だそうだ。こういった単語がつくられている時点で、「おい、アメリカ、ちょっと待てよ」って思っちゃうよ。今更だし、わかりきっていることとはいえ、ね……。

『トラフィック』をつくったチームが手がけた作品とのこと。『トラフィック』はすこぶる面白かったっけ。でも、結構難解でもあったっけ。とはいえ、『シリアナ』の難解っぷりは、私にとっては、『トラフィック』をずっとずっとうわまわってるよ。

『ロード・オブ・ウォー』同様、今の時代にこういう内容の映画が「アメリカで」つくられたこと自体には、なかなか意味があると思う。しかし、ただでさえ敷居の高いテーマの難しい物語がジェット・コースター的に展開されるものだから、中東情勢に詳しくない私のような人間には、非常に疲れる。ぜいぜい言いながらエンド・クレジットを迎えたわりには、「で……、どういう話だったんだっけ?」って、じっくりおさらいしたり誰かから説明してもらったりしないと、理解にたどりつくのは甚だ大変。

 豪華なキャストの中で、気になったのはウィリアム・ハート。昔日のイイ男っぷりなんて、見る影もない。役作りであってほしいもんだが、多分違う……。『偶然の旅行者』や『ブロードキャスト・ニュース』に出ていた彼(大好きだった、この頃の彼)が懐かしいけれど、あれから20年近く経っているわけだから、……歳のわりには素敵なのかもしれない。うん。

 癖の強い顔の役者が好きな私。ゲイリー・シニーズしかり、スティーヴ・ブシェミしかり、トミー・リー・ジョーンズしかり、ウィリアム・H・メイシーしかり。……クリス・クーパーしかり。でも、『シリアナ』ではクリスの出演シーンがちょっと少なめだったから、残念。

 自分には難しい内容だったとはいえ、128分、あっという間。タブーや陰謀というものへの認識が改めて素直に恐ろしくなるし、世界に無関心ではいけないんだ、って殊勝な気持ちにもなれる。「こういう映画がすんなり理解できるような自分だったら、格好よいだろうになぁ」なんて悔しくも感じてみたり。もっとちゃんと好奇心と問題意識持つように心がけよう、世界情勢に。

試写日:2006年2月9日@ヤクルト・ホール