ごはんの支度をしながら、気の合う映画を想うのが好き。字書き屋・香ん乃がお贈りする、インフォメーション・シネマ感想文・雑記など。
2006/02/03 02:08 『スタンドアップ』を観たよ。
あの抜群の美女・シャーリーズの顔がでかく見えるなんて……。「トップにボリュームのあるレイヤー+前髪を薄くおろす」って髪型には、場合によっちゃ巨大顔が待っている、ってことだ。ああ、でも、あの前髪がもうちょい長かったら、私の今の髪型と似てなくもない……。うぅ……。
『スタンドアップ』
原題:"NORTH COUNTRY"
参考:スタンドアップ@映画生活
2005年・アメリカ・124分
監督:ニキ・カーロ
製作:ニック・ウェクスラー
製作総指揮:ヘレン・バック・バートレット ナナ・グリーンウォルド 他
原作:クララ・ビンガム ローラ・リーディー・ガンスラー
脚本:マイケル・サイツマン
撮影:クリス・メンゲス
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:シャーリーズ・セロン フランシス・マクドーマンド
ウッディ・ハレルソン リチャード・ジェンキンス
ショーン・ビーン シシー・スペイセク 他
ミネソタの冬は厳しい ― 若くしてふたりの子持ちであるジョージー(シャーリーズ・セロン)は、夫の暴力から逃げて、ミネソタの実家に帰ってきた。夫がいなくても子供を養っていけると証明したいジョージーは、友人・グローリー(フランシス・マクドーマンド)の勧めをきっかけに鉱山で働くことにする。しかし、職場に女が入り込むことを歓迎できない鉱山労働者の男たちによる、露骨で下劣な嫌がらせがジョージーを待っていた。一方、同じく鉱山労働者で、ジョージーの生きかたに理解を示さない父・ハンク(リチャード・ジェンキンス)との溝も深まるばかりで……。
「ドメスティック・ヴァイオレンス」とか「シングル・マザー」、そして、「セクシャル・ハラスメント」、こういった用語が、まだ全然メジャーではなかった時代を背景にした物語。実話がベースになっているとのこと。
「『エリン・ブロコビッチ』のセクハラ訴訟版みたい」っていうのが第一印象。とてもストレートに、すこぶる教科書的に、「佳作の社会派人間ドラマ」としてできあがっている。観ているあいだは結構ぼろぼろ泣いた。ネタバレになるから詳しくは言わないけど、私が一番涙ぱたぱただったのは、父・ハンクを演じたリチャード・ジェンキンスの見せ場にて。
現代では、こういった目に見える悪質なセクハラってずいぶん減った。いい時代になったもんだ。でも、社会人の女だったら、ジョージーたちが味わった感慨、あんなに強烈ではなくても、必ず知っている。あの感覚、嫌な胸騒ぎ、むかつき、哀しさ、苦い悔しさ ― そういうあれこれを、社会で働いたことのある女なら、たとえ微々たるものでも、実感として間違いなく知っている。だから、この映画にはナチュラルに感情移入しやすいし、まっすぐに共感できちゃう。
ただ、クライマックスへの盛り上げかたが駆け足で、ラストがあっけないまでにシンプル。「あら? このまんま終わっちゃうの? もうひと波乱ふた波乱ほどあってもよかったんじゃないの?」って感じ。とはいえ、「スタンドアップ」@【或る日の出来事】でボー・BJ・ジングルズさんが「実際に、こういう出来事があったのだ、ということを見せてくれる映画としての意義は、とても大きい」とおっしゃっている通り、こういった出来事が現実としてあったと知らしめてくれたという時点で、この作品の役割とお仕事は充分大きくて重要だったと私も思う。
キャスティングにはずれがないの。セクハラに立ち向かうタフさが格好よい一方、未熟だけど一生懸命なママっぷりの不器用さが対照的、っていうジョージーを、シャーリーズが人間くささたっぷりに演じていた。美貌の代名詞みたいなシャーリーズなのに、「いるよね、こういう女の人ってさ」と思わず「うんうん」ってうなずけちゃうような身近な人物になっちゃってるの。すごいよね、これって。だって、ゴージャスなジュエリーに命が宿ったみたいな、あのシャーリーズ・セロンなんだよ?
すごいっていえば、フランシス・マクドーマンドさん。思わず「さん」づけ。どんな映画でどんな役柄のこの人を観ても、瞠目させられないことがない。今回もまた然り。
ジョージーの両親がリチャード・ジェンキンスとシシー・スペイセク。まあ、このふたりが下手なわけがないよな。ただ、前述したようにリチャードの見せ場は感動要素ばりばりだけど、シシーは見せ場自体が少ない感じ。ちょっともったいなかったな、せっかくの演技派が。
好感度のかたまりみたいな弁護士を演じたウッディ・ハレルソン、「ケツの穴の小さい嫌な奴」そのものの男を体現したジェレミー・レナー、このふたりもよかった。でも、男優さんではもうひとり、ショーン・ビーンが感嘆モノにすばらしかったよ。もっとはっきり言えば、ショーン・ビーン演じるカイルと、マクドーマンド演じるグローリーの「夫婦の描写」が、本当に本当に抜群だった。
グローリーとカイルの夫婦は、傍目から見ると決して幸福ではない。ふたりが直面する運命は、いろんな意味で過酷なのだ。それにもかかわらず、彼女たちはとても温かく穏やかなの。この夫婦が見つめ合うとき、日常の何気ない行為を共にするとき、ささやかなキスを交わすとき ― そこには本物の安らぎと幸せが薫っている。……マクドーマンドが巧いのはあたりまえ。だけど、ショーン・ビーンがこんなに巧いとは思わなかった。「『ロード・オブ・ザ・リング』の豆さん」ってイメージしかなかったのになぁ。……上手な役者さんでした。見事に好演でした。マクドーマンドと対等張ってました。ごちそうさまでした。
ところで、リチャード・ジェンキンスが出演している『シックス・フィート・アンダー』っていう葬儀屋の連ドラが観たくてたまらない。海ドラ情報でこのドラマが話題になるたびに興味が募りまくってどうしようもないんだもん。日本でもDVD化してくれないかなー。ミーシャ・バートン主演の『THE O.C.』もDVD化してくれよー(日本での放映が決まったんだって? でも、当然ながら地上波じゃないわよね……)。
話が逸れてごめんなさい。よい映画だったよ、『スタンドアップ』。ただ、私的好みからすると、あと味があっさり爽やかすぎちゃった。とはいえ、……「映画ファンやっててよかった!」と実感できる時間をもらえた作品ではあったわ。
この作品のもうひとつの主人公が、"NORTH COUNTRY"っていう原題にも象徴されている、「ミネソタの厳しい冬の情景」。ロケと設定が存分に生かされた「冬」の姿がそこにあるよ。
試写日:2006年1月12日@中野サンプラザ
『スタンドアップ』
原題:"NORTH COUNTRY"
参考:スタンドアップ@映画生活
2005年・アメリカ・124分
監督:ニキ・カーロ
製作:ニック・ウェクスラー
製作総指揮:ヘレン・バック・バートレット ナナ・グリーンウォルド 他
原作:クララ・ビンガム ローラ・リーディー・ガンスラー
脚本:マイケル・サイツマン
撮影:クリス・メンゲス
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
出演:シャーリーズ・セロン フランシス・マクドーマンド
ウッディ・ハレルソン リチャード・ジェンキンス
ショーン・ビーン シシー・スペイセク 他
ミネソタの冬は厳しい ― 若くしてふたりの子持ちであるジョージー(シャーリーズ・セロン)は、夫の暴力から逃げて、ミネソタの実家に帰ってきた。夫がいなくても子供を養っていけると証明したいジョージーは、友人・グローリー(フランシス・マクドーマンド)の勧めをきっかけに鉱山で働くことにする。しかし、職場に女が入り込むことを歓迎できない鉱山労働者の男たちによる、露骨で下劣な嫌がらせがジョージーを待っていた。一方、同じく鉱山労働者で、ジョージーの生きかたに理解を示さない父・ハンク(リチャード・ジェンキンス)との溝も深まるばかりで……。
「ドメスティック・ヴァイオレンス」とか「シングル・マザー」、そして、「セクシャル・ハラスメント」、こういった用語が、まだ全然メジャーではなかった時代を背景にした物語。実話がベースになっているとのこと。
「『エリン・ブロコビッチ』のセクハラ訴訟版みたい」っていうのが第一印象。とてもストレートに、すこぶる教科書的に、「佳作の社会派人間ドラマ」としてできあがっている。観ているあいだは結構ぼろぼろ泣いた。ネタバレになるから詳しくは言わないけど、私が一番涙ぱたぱただったのは、父・ハンクを演じたリチャード・ジェンキンスの見せ場にて。
現代では、こういった目に見える悪質なセクハラってずいぶん減った。いい時代になったもんだ。でも、社会人の女だったら、ジョージーたちが味わった感慨、あんなに強烈ではなくても、必ず知っている。あの感覚、嫌な胸騒ぎ、むかつき、哀しさ、苦い悔しさ ― そういうあれこれを、社会で働いたことのある女なら、たとえ微々たるものでも、実感として間違いなく知っている。だから、この映画にはナチュラルに感情移入しやすいし、まっすぐに共感できちゃう。
ただ、クライマックスへの盛り上げかたが駆け足で、ラストがあっけないまでにシンプル。「あら? このまんま終わっちゃうの? もうひと波乱ふた波乱ほどあってもよかったんじゃないの?」って感じ。とはいえ、「スタンドアップ」@【或る日の出来事】でボー・BJ・ジングルズさんが「実際に、こういう出来事があったのだ、ということを見せてくれる映画としての意義は、とても大きい」とおっしゃっている通り、こういった出来事が現実としてあったと知らしめてくれたという時点で、この作品の役割とお仕事は充分大きくて重要だったと私も思う。
キャスティングにはずれがないの。セクハラに立ち向かうタフさが格好よい一方、未熟だけど一生懸命なママっぷりの不器用さが対照的、っていうジョージーを、シャーリーズが人間くささたっぷりに演じていた。美貌の代名詞みたいなシャーリーズなのに、「いるよね、こういう女の人ってさ」と思わず「うんうん」ってうなずけちゃうような身近な人物になっちゃってるの。すごいよね、これって。だって、ゴージャスなジュエリーに命が宿ったみたいな、あのシャーリーズ・セロンなんだよ?
すごいっていえば、フランシス・マクドーマンドさん。思わず「さん」づけ。どんな映画でどんな役柄のこの人を観ても、瞠目させられないことがない。今回もまた然り。
ジョージーの両親がリチャード・ジェンキンスとシシー・スペイセク。まあ、このふたりが下手なわけがないよな。ただ、前述したようにリチャードの見せ場は感動要素ばりばりだけど、シシーは見せ場自体が少ない感じ。ちょっともったいなかったな、せっかくの演技派が。
好感度のかたまりみたいな弁護士を演じたウッディ・ハレルソン、「ケツの穴の小さい嫌な奴」そのものの男を体現したジェレミー・レナー、このふたりもよかった。でも、男優さんではもうひとり、ショーン・ビーンが感嘆モノにすばらしかったよ。もっとはっきり言えば、ショーン・ビーン演じるカイルと、マクドーマンド演じるグローリーの「夫婦の描写」が、本当に本当に抜群だった。
グローリーとカイルの夫婦は、傍目から見ると決して幸福ではない。ふたりが直面する運命は、いろんな意味で過酷なのだ。それにもかかわらず、彼女たちはとても温かく穏やかなの。この夫婦が見つめ合うとき、日常の何気ない行為を共にするとき、ささやかなキスを交わすとき ― そこには本物の安らぎと幸せが薫っている。……マクドーマンドが巧いのはあたりまえ。だけど、ショーン・ビーンがこんなに巧いとは思わなかった。「『ロード・オブ・ザ・リング』の豆さん」ってイメージしかなかったのになぁ。……上手な役者さんでした。見事に好演でした。マクドーマンドと対等張ってました。ごちそうさまでした。
ところで、リチャード・ジェンキンスが出演している『シックス・フィート・アンダー』っていう葬儀屋の連ドラが観たくてたまらない。海ドラ情報でこのドラマが話題になるたびに興味が募りまくってどうしようもないんだもん。日本でもDVD化してくれないかなー。ミーシャ・バートン主演の『THE O.C.』もDVD化してくれよー(日本での放映が決まったんだって? でも、当然ながら地上波じゃないわよね……)。
話が逸れてごめんなさい。よい映画だったよ、『スタンドアップ』。ただ、私的好みからすると、あと味があっさり爽やかすぎちゃった。とはいえ、……「映画ファンやっててよかった!」と実感できる時間をもらえた作品ではあったわ。
この作品のもうひとつの主人公が、"NORTH COUNTRY"っていう原題にも象徴されている、「ミネソタの厳しい冬の情景」。ロケと設定が存分に生かされた「冬」の姿がそこにあるよ。
試写日:2006年1月12日@中野サンプラザ
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