ごはんの支度をしながら、気の合う映画を想うのが好き。字書き屋・香ん乃がお贈りする、インフォメーション・シネマ感想文・雑記など。 
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2005/12/28 01:12    『フル・モンティ』を観たよ。
 確かにコメディはコメディなんだけど、爆笑を求めて観ちゃいけないんだわね。

『フル・モンティ』
原題:"THE FULL MONTY"
参考:フル・モンティ@映画生活
1997年・イギリス・93分
監督:ピーター・カッタネオ
製作:ウベルト・バゾリーニ
脚本:サイモン・ビューフォイ
撮影:ジョン・デ・ボーマン
音楽:アン・ダッドリー
出演:ロバート・カーライル トム・ウィルキンソン
   マーク・アディ スティーヴ・ヒューイソン

 ガズ(ロバート・カーライル)は失業者。離婚した元妻の家で暮らしている息子が彼の生き甲斐だが、養育費の払えない彼は共同親権を失いそうになっていた。ガズの友人で太目の体型を気にするデイヴ(マーク・アディ)も職がない。彼の妻は街で興行中の男性ストリップ・ショーに熱狂しているのだった。それを知ったガズは、自分たちも裸で踊れば大金が稼げるのではないかと思いつく。反りが合わなかった以前の上司で、現在は同じく失業中のジェラルド(トム・ウィルキンソン)を「社交ダンスができるから」という理由で誘い込み、彼らは自分たちのストリップ・ショーを実現すべく計画を練るが……。

「そういえば、観てなかったなぁ」と突然気づいてレンタルしてきた。すごく有名な作品で、評価も相当高いよね。だから、ちょっと期待しすぎちゃったのかもしれない。

 つまらなくはなかったけれど、「そんなに大騒ぎするほどかなぁ」というのが正直な印象。こういう雰囲気、嫌いではないのだ。かつて鉄鋼業で栄えた街の失業者たちと、その街並みや風景の寂寥感あふれまくりのさびれっぷり、これらの設定だけでもう、「あぁ、この味わいって、イギリス映画の1ジャンルみたいなもんだよなぁ」って嬉しくなってきちゃう。『ブラス!』や『リトル・ダンサー』にじんわりした記憶が甦ってくるのだ。イギリス映画の特にコメディには、描写の不衛生さや下ネタの扱いかたの下品さについていけなくなってしまうことが、私にはよくある。でも、『フル・モンティ』は大丈夫だった。テーマも展開も上品とは言えないけれど、その品性のなさがこの物語の魅力でもあるのだろうし、だからといって下劣には決してなっていないから、嫌悪感をいだくことなく、それなりに楽しんで最後まで観られたのである。ただ、中だるみして退屈な部分もあるし、笑わせどころや感動させどころの押さえかたも少々甘い感じで、めりはりや勢いがあまり感じられなかった。巧い映画だ、天晴れな作品だ、と感心できるポイントが、私には別に見つけられなかったのである。……2005年という「今」に観てしまったせいだろうか。1997年当時は、もしかしたら、「男性がストリップ・ショーをする」というだけで意外性満点であったのかもしれない。

 カッタネオ監督はどうやら寡作のようで、まだ3作品しかメガホンをとっていないけれど、その中の1作『ラッキー・ブレイク』を、大笑いしたり涙ぐみかけたりと、楽しんで観たものだった。笑いの量と質も、物語のテンポや内容も、「踊り」の使いかたも、バランスが絶妙だったのだ。個人的には、『ラッキー・ブレイク』のほうが『フル・モンティ』よりずっとコメディとして美味しかったように思う。

観た日:2005年12月17日@自宅にてDVD